ヘッダー画像

医療コラム

T先生!寝すぎって、頭に良くないってホント?|つじファミリークリニック|大野城市東大利にある内科・ペインクリニック

T先生!寝すぎって、頭に良くないってホント?

(下記の論文を元に一部AIを用いて作成しました)

Guo G, Jiang Y, Dong J, Zhao X, Lai X, Wang X, Rong H, Li J. Associations Between Sleep Duration and Cognitive Function Among Older Adults: Cross-Sectional Study. JMIR Hum Factors. 2025 Sep 8;12:e72886. doi: 10.2196/72886. PMID: 40921064; PMCID: PMC12455150.

 

📢 T先生!寝すぎって、頭に良くないってホント? 🧠


たろうくん

「T先生!この前、おじいちゃんが『最近、寝ても寝ても眠いから、10時間くらい寝ちゃったよ』って言ってたんだ。ぼくは寝るのが大好きだからうらやましいけど、そんなに長く寝るのって、逆に体に悪くないの?」

T先生

「おぉ、たろうくん、いいところに気がついたね!『寝だめ』とか言って長く寝たくなるけど、実は睡眠時間と『頭の元気さ(認知機能)』には、とっても深いつながりがあることが分かってきたんだよ 1。今日はそのお話をしようか。」

たろうくん

「わーい!教えて、T先生!」


どんな研究でわかったの? 📖

T先生

「うん。これは2020年に行われた、中国の中高年(平均61.5歳)の人たち、なんと15,526人も参加した大きな研究なんだ 。みんなに『一晩に平均で何時間くらい寝ていますか?』って聞いて 、それと『記憶力(エピソード記憶)』や『頭の回転の速さ(精神的鋭敏さ)』なんかの認知機能スコアを比べたんだよ 。」

たろうくん

「1万5千人以上!すごい数だね!」

T先生

「そうだね。だから、とても信頼できるデータなんだ。」


理想の睡眠時間は? 😴

たろうくん

「やっぱり、よく言う『8時間睡眠』が一番いいのかな?」

T先生

「お、鋭いね!この研究でも、夜の睡眠時間が『7時間』または『8時間』の人たち が、記憶力も頭の回転も、すべての認知機能スコアが一番高かったんだ 。だから、中高年の人にとっては、7〜8時間というのが一つの『ちょうどいい睡眠時間』の目安になりそうだね。」

たろうくん

「へぇ〜!やっぱり7時間か8時間なんだね。」


📉 寝すぎも寝なさすぎもダメ?

T先生

「たろうくんの最初のお話に戻るけど、この研究で一番大事な発見は、睡眠時間と認知機能の関係が『逆U字型(さかさまのUの形)』だったことなんだ 。」

たろうくん

「ぎゃくUじがた?」

T先生

「うん。7〜8時間を山のてっぺんだとすると、そこから睡眠時間が短すぎても、逆に長すぎても、山のふもとの方みたいに認知機能のスコアが下がってしまったんだ 。つまり、寝なさすぎも、寝すぎも、どっちも認知機能には良くない可能性があるってことさ。」

たろうくん

「えーーっ!やっぱり寝すぎもダメなんだ!おじいちゃん、10時間って言ってたけど…」

T先生

「ドキッとするよね。この研究で、いろんな要因(年齢や性別、他の病気とか)を調整した後で比べたら、認知機能へのマイナスの影響が一番大きかったのは、なんと『10時間以上寝る』グループだったんだ(影響の大きさを示す数字β が-3.01だったよ)。そして、次に悪かったのが『4時間以下』しか寝ないグループ(β が-1.85)だったんだ。」

たろうくん

「寝不足より、寝すぎの方が影響が大きかったなんてビックリ…!ちなみに、9時間とか5時間は?」

T先生

「うん、9時間寝るグループ(β が-1.78)や、5時間寝るグループ(β が-0.55)も、7時間の人と比べたらスコアが低かったよ。ちなみに、6時間睡眠のグループは、はっきりとした差は出なかったみたいだね 。」


なんで長く寝ると良くないの? 🧐

たろうくん

「寝不足がダメなのは分かる気がする。頭がボーッとするもんね。でも、なんで長く寝すぎるのもダメなの?」

T先生

「いい質問だね。理由は二つ考えられているよ。

まず、短い睡眠がなぜダメかというと、寝ている間に脳は**『お掃除』をしているからなんだ 。睡眠が短いと、そのお掃除時間が足りなくて、脳に悪いゴミ(アルツハイマー病の原因とも言われるアミロイドβっていうタンパク質とか)が溜まってしまうと考えられているんだ 。

たろうくん

「なるほど、脳のお掃除タイムが必要なんだね!」

T先生

「一方、長い睡眠がなぜダメかというと、それは『長く寝すぎること』自体が直接悪いというよりは、『長く寝ないと体がもたない』何か別の理由が隠れているサインかもしれないんだ 。」

たろうくん

「別の理由?」

T先生

「そう。例えば、体に慢性的な病気や炎症があったりして 、体がそれを治そうとして、結果的に長い睡眠が必要になっている…という可能性だね。だから、長すぎる睡眠は、そういう『体の不調』を反映しているのかもしれないんだ。」


📝 まとめ!

T先生

「というわけで、今回の研究から分かることをまとめるよ!」

✅ 中高年の人の認知機能(頭の元気さ)にとって、睡眠時間は短すぎても長すぎても良くない可能性があるよ 。

✅ この研究では、7時間または8時間の睡眠をとっている人たちの認知機能スコアが最も高かったよ 。

✅ 特に「10時間以上」の睡眠と「4時間以下」の睡眠は、認知機能の低下と強く関連していたよ 。

✅ 短すぎる睡眠は、脳のお掃除(老廃物の除去)を邪魔してしまう可能性があるよ 。

✅ 長すぎる睡眠は、体に隠れた病気や不調のサインかもしれないから、一度お医者さんに相談してみるのもいいね 。


たろうくん

「なるほど〜!『寝れば寝るほど健康』ってわけじゃないんだね。奥が深いなぁ。おじいちゃんにも、7〜8時間くらいがいいみたいだよって教えてあげる!ありがとう、T先生!」

T先生

「どういたしまして!もちろん、必要な睡眠時間には個人差があるから、おじいちゃんも自分にとって一番スッキリ起きられる『適度な睡眠時間』を見つけるのが一番大事だね 。」 😊