高血圧症
高血圧症
高血圧症とは、血圧が常に高い状態のことを言います。血圧は、心臓が血液を体中に送り出す力のことで、これが強すぎると血管に負担がかかり、心臓や脳、腎臓などの重要な器官にダメージを与える可能性があります。
血圧は通常、診察室で測定されますが、診察室での血圧よりも24時間自由行動下血圧測定(ABPM)や家庭血圧での診察室外血圧平均値が、脳梗塞の発生や心筋梗塞の発症とより強い相関があることが知られています。したがって、ABPMや家庭血圧を参考に治療することが推奨されます。
また、高血圧の診断の際には「白衣高血圧」を考慮することも重要です。これは、医療機関で血圧を測定すると高くなるが、普段の生活では血圧が高くない状態を指します。白衣高血圧は比較的頻度の高い病態であり、診断の際には家庭血圧測定またはABPMにより白衣高血圧を除外することが強く推奨されます。
これらの要素を考慮に入れることで、高血圧症の正確な診断と適切な治療が可能となります。
高血圧の原因はさまざまで、それぞれの人によって異なる要素が関与しています。その中でも、特に注目すべき原因として「原発性アルドステロン症」があります。これは副腎が過剰にアルドステロンというホルモンを分泌する病気で、このホルモンが体内でナトリウムと水分の再吸収を促進し、血液の量を増やすことで血圧が上がります。原発性アルドステロン症は5~15%と比較的頻度の高い二次性高血圧の原因疾患であり、特にII度以上の高血圧、副腎偶発腫瘍合併例、治療抵抗性の高血圧、低K血症、若年者の高血圧、若年者の脳血管障害合併例、睡眠時無呼吸合併などの所見を認めるときは検査を行うことが推奨されます。
また、生活習慣の乱れも高血圧を引き起こす大きな要因です。特に、塩分の摂取過多、運動不足、肥満、ストレス、過度のアルコール摂取などは血圧を上げる可能性があります。これらの生活習慣は、自分の意識と努力によって改善することが可能なため、高血圧の予防や管理には大きな役割を果たします。
高血圧の症状は、初期段階ではあまり現れません。しかし、血圧が長期間高いと、頭痛やめまい、耳鳴り、疲れやすさなどの症状が出ることがあります。また、重度の高血圧では、胸痛や息切れ、視覚障害などの深刻な症状が現れることもあります。
高血圧は「無症状の殺人者」とも呼ばれるほど、症状が出ないまま重大な健康問題を引き起こす可能性があります。そのため、定期的な血圧のチェックが非常に重要です。
また、高血圧が長期間続くと、心臓や脳、腎臓などの重要な器官にダメージを与える可能性があります。これらの器官が損傷すると、心筋梗塞や脳梗塞などの重大な疾患を引き起こす可能性があります。これらの疾患は、生命に直結する問題であり、早期の発見と適切な治療が必要です。
高血圧の治療は、主に生活習慣の改善と薬物療法が中心です。まずは、塩分の摂取を控える、適度な運動をする、アルコールの摂取を控える、喫煙をやめるなど、生活習慣を見直すことが大切です。
薬物療法では、降圧薬を使用します。降圧薬にはいくつかの種類があり、それぞれが体内の異なる部分に作用して血圧を下げます。例えば、利尿薬は体内の余分な水分や塩分を排出し、血圧を下げます。また、カルシウム拮抗薬は血管を広げて血流を改善し、血圧を下げます。ACE阻害薬やARBは、血管を広げて血流を改善し、心臓にかかる負担を軽減します。
しかし、これらの治療法が効果的でない場合や、特定の病状によっては、専門医の相談が必要となることもあります。例えば、原発性アルドステロン症やクッシング症候群などの特定の疾患が原因で高血圧を引き起こしている場合、専門的な治療が必要となることがあります。
また、一部の薬剤は高血圧を引き起こすことが知られています。これらの薬剤を服用している場合、可能な限り中止を考慮することが推奨されます。中止が困難な場合は、降圧薬を用いて血圧を管理します。
高血圧の管理には、健康的な生活習慣が非常に重要です。以下の点に注意してください。
これらの生活習慣の改善は、高血圧の管理だけでなく、全体的な健康状態の改善にも寄与します。しかし、これらの指導は一律ではなく、患者ごとに合併症や体力、栄養状態を考慮して行うことが望ましいです。また、定期的な血圧測定と医師との定期的な相談も忘れないでください。