T先生!「若年性認知症」って、生活習慣と関係あるの?
- 2025年10月22日
- 2025年10月24日(更新)
- 認知症,MASLD(代謝機能障害関連脂肪肝疾患),糖尿病,脂質異常症,高尿酸血症,高血圧症,教えて!T先生,最近の研究,女性の健康,男性の健康,高齢者の健康,エイジング・ケア、予防医学,食事療法・運動療法,内分泌・糖尿病,脳・神経
📢 T先生!「若年性認知症」って、生活習慣と関係あるの? 🧠
たろうくん
「T先生!こないだテレビで『若年性認知症(じゃくねんせいにんちしょう)』って言葉を聞いたんだ。認知症って、おじいちゃんやおばあちゃんの病気だと思ってたけど、違うの?」
T先生
「いいところに気がついたね、たろうくん。たしかに認知症は高齢の方に多いんだけど、65歳未満で発症する認知症もあって、それを『若年性認知症』と呼ぶんだ。実は最近、この若年性認知症と、僕たち大人が気にする『メタボ』との関係についての大きな研究結果が出たんだよ。」
たろうくん
「メタボ? お父さんが健康診断で『メタボに注意』って言われてたやつだ! それが認知症と関係あるの?」
メタボリックシンドローム(MetS)のおさらい!
T先生
「そうそう、そのメタボだね。正式には『メタボリックシンドローム(MetS)』っていうんだ。簡単に言うと、おへその周りのおなかの脂肪(内臓脂肪)がたくさんたまっていて、さらに『高血圧(血圧が高い)』、『高血糖(血液の中の糖分が多い)』、『脂質異常症(血液の中の油分のバランスが悪い)』のうち、2つ以上が当てはまる状態のことを言うんだよ。」
たろうくん
「ふむふむ。おなかがぽっこりしていて、さらに血圧とか血糖値とかにも問題がある状態ってことかぁ。」
T先生
「その通り!メタボは心臓の病気や脳卒中(のうそっちゅう)になりやすいって言われてきたんだけど、『もしかして若いうちの認知症にも関係してるんじゃないか?』って調べた人たちがいるんだ。」
約200万人を調べた、すごく大きな研究! 🔬
T先生
「お隣の国、韓国で行われた研究なんだけど、これがすごくてね。2009年に健康診断を受けた**40歳から60歳までの人たち、なんと約198万人(1,979,509人)**ものデータを集めたんだ。」
たろうくん
「ひゃー!200万人近く!? すごい数だね!」
T先生
「そうだよね。その人たちのうち、半分くらい(50.7%)がメタボだったんだ。そして、その人たちがその後、65歳になるまでの間(平均で約7.75年間)、若年性認知症になるかどうかを追跡調査したんだよ。」
たろうくん
「ドキドキするね…それで、どうだったの?」
やっぱり「メタボ」だとリスクが上がるの? 😥
T先生
「うん…残念ながら、やっぱり関係があったんだ。研究の結果、メタボの人は、メタボじゃない人に比べて、すべての種類の若年性認知症になるリスクが24%も高かったんだよ。(※調整HR:1.24)」
たろうくん
「24%も!? それって結構高いよね…。」
T先生
「そうだね。もう少し詳しく見ると、認知症にもいくつかタイプがあってね。
まず、脳に特殊なゴミがたまってしまう『アルツハイマー病』タイプの若年性認知症のリスクは**12.4%**高かった。(※HR:1.12)
それから、脳の血管が詰まったり(脳梗塞)切れたり(脳出血)して起こる『脳血管性認知症』タイプの若年性認知症のリスクは、**20.9%**も高かったんだ。(※HR:1.21)」
たろうくん
「うわぁ…メタボって、脳の血管にもアルツハイマー病にも関係してくるんだね。」
どうしてメタボだと認知症と関係するの? 🤔
T先生
「はっきりとした『これが原因だ!』っていうのは、この研究(観察研究)だけでは断言できないんだけど、いくつか考えられる理由があるんだよ。」
たろうくん
「うんうん、知りたい!」
T先生
「まず、メタボの仲間たちである高血圧や高血糖、脂質異常は、全身の血管、もちろん脳の血管にもダメージを与えて、硬くしたり(動脈硬化)、血の流れを悪くしたりするんだ。これが『脳血管性認知症』に繋がりやすいのはイメージできるよね。」
たろうくん
「なるほど。脳にちゃんと栄養や酸素が行かなくなっちゃうんだね。」
T先生
「そういうこと。それに、おなかの脂肪(内臓脂肪)からは、体に良くない物質が出て、それが脳で軽い『炎症(かじみたいなもの)』を起こしたり、アルツハイマー病の原因になる悪いタンパク質(アミロイドβ)を脳にためやすくしたりするんじゃないか、とも考えられているんだ。」
じゃあ、僕たちにできることは? 🏃♂️🥗
たろうくん
「なんだか心配になってきちゃった…。お父さんやお母さんのためにも、何かできることってないのかな?」
T先生
「もちろんあるよ!この研究が教えてくれる一番大事なことは、『メタボを予防したり、改善したりすることが、将来の若年性認知症のリスクを下げることにつながるかもしれない』ってことなんだ。」
たろうくん
「具体的には何をすればいいの?」
T先生
「メタボのチェックポイントを思い出してみて。おなかの脂肪、血圧、血糖、血液の油分だよね。これらを良くするためには、やっぱり健康的な生活習慣が一番なんだ。」
たろうくん
「あ!バランスの良い食事とか、運動とか?」
T先生
「大正解! 素晴らしいね! 🙆♂️野菜をしっかり食べて、甘いジュースやお菓子、油っこいものを食べ過ぎないこと。そして、お父さんやお母さんと一緒にウォーキングしたり、たろうくんは外で元気に遊んだりして、体を動かすこと。こういう日々の積み重ねが、メタボを防いで、巡り巡って未来の脳の健康も守ることにつながるんだよ。」
たろうくん
「そっか! 若いうちから気をつけるのが大事なんだね。よーし、僕もお菓子をちょっと我慢して、お父さんとキャッチボールする時間を増やすよ!」
T先生
「うん、いいね!家族みんなで健康を考える、とっても良いきっかけになると思うよ! 😊」
📝 まとめ!
✅ 「若年性認知症」は、65歳未満で発症する認知症のことだよ。
✅ 韓国の約198万人を対象にした研究で、「メタボ(MetS)」の人は若年性認知症のリスクが約24%高いことがわかったんだ。
✅ 特に「脳血管性認知症」のリスクは20.9%、「アルツハイマー病」のリスクも12.4%高かったよ。
✅ メタボ(おなかの肥満、高血圧、高血糖、脂質異常)は、脳の血管や状態にも悪い影響を与える可能性があるんだ。
✅ 若いうちからメタボを予防・改善する生活(バランスの良い食事や運動)を心がけることが、将来の認知症予防にもつながるかもしれないよ!