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医療コラム

T先生!がん治療中のお薬で頭の働きは守れるの?|つじファミリークリニック|大野城市東大利にある内科・ペインクリニック

T先生!がん治療中のお薬で頭の働きは守れるの?

(下記の論文を元に一部AIを用いて作成しました)

Grizzard PJ, O’Connell NS, Rapp SR, Olson KC, Bellissimo MP, Hughes AN, Ladd AC, Weaver KE, Wagner LI, Ruddy KJ, Ky B, D’Agostino RB, Hundley WG. Preserved Cognitive Function After Statin Administration During Cancer Treatment With Doxorubicin: A Secondary Analysis of a Randomized Clinical Trial. JAMA Netw Open. 2025 Oct 1;8(10):e2538325. doi: 10.1001/jamanetworkopen.2025.38325. PMID: 41118164; PMCID: PMC12541534.

 

🧠 T先生!がん治療中のお薬で頭の働きは守れるの? 💊


たろうくん
「T先生!がんの治療を受けると、頭の働きが悪くなるって聞いたことがあるんだけど、本当なの?」

T先生
「いい質問だね!実は、がん治療を受けている人の中には、記憶力や集中力が落ちたと感じる人もいるんだ。それで今日は、コレステロールを下げるお薬(スタチン) が、がん治療中の頭の働きを守れるかもしれないという研究を紹介するよ。」

たろうくん
「へぇ〜!コレステロールのお薬が頭の働きにも関係するんだ!」


🔬 どんな研究だったの?

T先生
「この研究は、アメリカの31の病院で行われた大規模な研究なんだ。238人の患者さん(平均年齢49歳、女性が91.2%)が参加して、乳がんやリンパ腫の治療でドキソルビシンという抗がん剤を使う人たちを対象にしたんだよ。」

たろうくん
「ドキソルビシンって何?」

T先生
「ドキソルビシンは、アントラサイクリン系という種類の抗がん剤で、がん細胞をやっつける強いお薬なんだ。でも、心臓や脳に負担をかけることもあるから、そこが心配されていたんだよ。」

たろうくん
「なるほど!それで、どんな実験をしたの?」

T先生
「患者さんを2つのグループに分けて、一方には1日40mgのアトルバスタチン(スタチンの一種)を、もう一方にはプラセボ(偽薬)を、24ヶ月間飲んでもらったんだ。そして、頭の働きがどう変わるかを調べたんだよ。」


📊 頭の働きはどうやって測ったの?

たろうくん
「頭の働きって、どうやって測るの?」

T先生
「いくつかのテストを使ったんだよ。例えば、トレイルメイキングテストというテストがあって、これにはパートAパートBがあるんだ。」

たろうくん
「どんなテストなの?」

T先生
パートAは、紙に書かれた1から25までの数字を順番に線でつなぐテストで、注意力を測るんだ。パートBは、数字とアルファベットを交互につなぐテスト(1→A→2→B→3→Cという感じ)で、実行機能(計画を立てたり、柔軟に考えたりする力)を測るんだよ。完成するまでの時間が短いほど、頭の働きが良いってことになるんだ。」


研究の結果はどうだったの?

T先生
「素晴らしい結果が出たんだ!まず、スタチンを飲んだグループでは、24ヶ月間で認知機能が悪化しなかったんだよ。」

たろうくん
「おぉ!それはすごいね!」

T先生
「特に注目すべきなのは、トレイルメイキングテストのパートB(実行機能を測るテスト)の結果なんだ。」

たろうくん
「どんな結果だったの?」

T先生
「治療開始前から24ヶ月後までで、スタチンを飲んだグループは平均10.2秒も速くなった(つまり改善した)のに対して、プラセボ(偽薬)を飲んだグループは0.2秒しか変わらなかったんだよ。」

たろうくん
「10.2秒も!それってかなり大きな違いだね!」

T先生
「そうなんだ!実行機能っていうのは、日常生活で計画を立てたり、問題を解決したりするときに必要な大切な能力だから、これが保たれるのはとても重要なんだよ。」


🤔 どうしてスタチンが効いたの?

たろうくん
「でも、コレステロールを下げるお薬が、どうして頭の働きを守るの?」

T先生
「いい質問だね!実は、スタチンにはコレステロールを下げる以外の効果もあるんだ。」

たろうくん
「どんな効果?」

T先生
「スタチンには、抗酸化作用抗炎症作用があって、脳を守る働きがあるんじゃないかと考えられているんだ。さらに、研究ではLDLコレステロール(悪玉コレステロール)の値が下がることと、実行機能の改善が関連していることも分かったんだよ。」

たろうくん
「へぇ〜!コレステロールの値も関係してるんだね。」


👵 年齢や性別は関係あるの?

T先生
「実は、この研究では年齢や閉経の前後に関係なく、スタチンの効果が見られたんだ。若い女性(52歳未満)でも、年配の女性(52歳以上)でも、同じように効果があったんだよ。」

たろうくん
「それはすごいね!みんなに効くんだ!」

T先生
「ただ、年齢が上がるほど、テストの完成時間は長くなる傾向があったよ。年齢が10歳上がるごとに、平均8.3秒長くかかるという結果も出ているんだ。」


⚠️ 注意することはある?

たろうくん
「じゃあ、がん治療を受ける人は、みんなスタチンを飲んだほうがいいの?」

T先生
「それはまだ分からないんだ。この研究では、主に白人の女性が対象だったから、他の人種や男性でも同じ効果があるかは、もっと研究が必要なんだよ。それに、スタチンには副作用もあるから、必ず主治医の先生と相談することが大切だね。」


📝 まとめ!

がん治療(ドキソルビシン)を受けながらスタチンを飲むと、認知機能が守られる可能性がある!
特に実行機能(計画を立てたり問題を解決する力)の改善が見られ、スタチン群は24ヶ月で10.2秒改善した!
スタチンの効果は年齢や閉経の前後に関係なく見られた!
この研究は主に白人女性が対象なので、他の人種や男性でも同じ効果があるかはさらなる研究が必要!


たろうくん
「なるほど!がん治療中でも、適切なお薬を使えば頭の働きを守れる可能性があるんだね。これからもっと研究が進んで、みんなが安心して治療を受けられるといいな!」

T先生
「その通り!医学は日々進歩しているから、患者さんが少しでも快適に治療を受けられるように、いろんな研究が行われているんだよ。何か心配なことがあったら、いつでも主治医の先生に相談してね。」😊