T先生!コレステロールと認知症について教えて!
たろうくん「T先生!今日は大事な質問があるんだ。おじいちゃんが最近物忘れが多くなってきて、家族みんなが心配してるんだ。認知症って防げないのかな?」
T先生「たろうくん、認知症のことを心配してるんだね。実は最近、とても重要な研究結果がいくつか発表されたんだよ。血液の中のコレステロールという物質が、認知症と深く関係しているということが分かってきたんだ」
たろうくん「えっ!コレステロール?給食の時に先生が『揚げ物ばっかり食べると体に良くないよ』って言ってたアレ?」
T先生「そうそう、その通り!特に『LDLコレステロール』という種類のコレステロールが高すぎると良くないんだ。最新の研究では、なんと11万人以上もの人を長い間調べた結果、LDLコレステロールが1 mmol/L(38.7mg/dL)上昇するごとに認知症になるリスクが8%も上がることが分かったんだよ①」
たろうくん「へぇ~。でも8%って、どれくらい大きな数字なの?」
T先生「もっと分かりやすい例を教えるね。イギリスでの研究では、LDLコレステロールが116という数字を超えると、認知症のリスクが33%も増えるんだ。つまり、3人に1人くらいの割合で危険が増えるということだよ②」
たろうくん「それは大変だね!でも、認知症って年をとってからなるんでしょ??」
T先生「実はね、若いうちから気をつけることがとても大切なんだ。40歳から64歳くらいの人たちを調べた研究では、その時期にコレステロールが高かった人は、10年以上経ってから認知症になりやすいことが分かったんだ③」
たろうくん「じゃあ、コレステロールを下げる薬を飲めば良いの?」
T先生「その通り!『スタチン』という薬を若いうちから正しく飲み続けることで、認知症のリスクを下げられることが日本の研究でも分かってきたんだ。面白いことに、この薬はパーキンソン病という、別の脳の病気の予防にも効果があるみたいなんだよ④」
たろうくん「へぇ~!じゃあ、僕も今から気をつけた方が良いことってある?」
T先生「そうだね。まずは、バランスの良い食事を心がけることかな。揚げ物や脂っこい食べ物は控えめにして、野菜をたくさん食べるのが良いよ。それと、定期的に運動することも大切だね。家族みんなで散歩するのも良いかもしれないね」
たろうくん「分かったよ!今日教えてもらったこと、お母さんにも話してみるね。ありがとう、T先生!」
T先生「うん、家族みんなで健康に気をつけていくのは素晴らしいことだね。また何か気になることがあったら、いつでも聞きに来てね」
②Mukadam N, et al. South Asian, Black and White ethnicity and the effect of potentially modifiable risk factors for dementia: A study in English electronic health records. PLoS One. 2023;18(10):e0289893.