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医療コラム

T先生!チョコレートの渋み成分が脳を活性化するって本当?|つじファミリークリニック|大野城市東大利にある内科・ペインクリニック

T先生!チョコレートの渋み成分が脳を活性化するって本当?

 

(下記の論文を元に一部AIを用いて作成しました)

Fujii Y, Taira S, Shinoda K, Yamato Y, Sakata K, Muta O, Osada Y, Ono A, Matsushita T, Azumi M, Shikano H, Abe K, Calabrese V, Osakabe N. Astringent flavanol fires the locus-noradrenergic system, regulating neurobehavior and autonomic nerves. Curr Res Food Sci. 2025 Sep 11;11:101195. doi: 10.1016/j.crfs.2025.101195. PMID: 41036518; PMCID: PMC12482304.

 

📢 T先生!チョコレートの渋み成分が脳を活性化するって本当? 🍫


たろうくん
「T先生!チョコレートとか赤ワインの渋みって、脳にいいって聞いたんだけど本当?」

T先生
「いい質問だね!実は最近の研究で、チョコレートや赤ワイン、ベリー類に含まれるフラバノールという渋み成分が、脳や自律神経に面白い影響を与えることがわかったんだよ。」

たろうくん
「フラバノール?それってどんな成分なの?」


🧪 渋み成分フラバノールとは

T先生
「フラバノールは、植物に含まれるポリフェノールの一種で、エピカテキンプロシアニジンなどがあるんだ。特徴は強い渋みがあることと、中性のpH環境(口の中や小腸)で活性酸素を作りやすいことだよ。」

たろうくん
「渋みが脳に影響するの?不思議だね!」

T先生
「そうなんだ。今回の研究では、マウスにフラバノールを1回投与しただけで、自発的な運動量が増えたり短期記憶が改善したりすることが確認されたんだよ。」


🧠 脳の覚醒センターを刺激する

たろうくん
「どうして渋み成分で記憶力が良くなるの?」

T先生
「カギになるのは、脳の青斑核(せいはんかく)という部分なんだ。これは脳の覚醒や注意力を調節する司令塔のような場所でね。」

たろうくん
「青斑核が何をするの?」

T先生
「青斑核はノルアドレナリンという物質(やる気や集中力に関わる神経伝達物質)を脳全体に送り出すんだ。研究では、フラバノールを投与した直後に、青斑核でノルアドレナリンの量が大幅に増加していることが確認されたよ。」

たろうくん
「それで目が覚めて、集中力が上がるんだね!」

T先生
「その通り!ノルアドレナリンが視床下外側視索前野(睡眠を促す部分)に働きかけて、覚醒状態を維持するんだ。実験では、グルーミング(毛づくろい)や立ち上がり行動など、覚醒の指標が有意に増加したんだよ。」


📚 記憶力向上のメカニズム

たろうくん
「記憶力が良くなるのはなぜ?」

T先生
「青斑核から海馬(記憶を作る脳の部位)にノルアドレナリンが送られると、記憶の定着が強化されるんだ。新しい物体を見分けるテストでは、フラバノールを投与したマウスの識別指数が有意に上昇したよ。」

たろうくん
「海馬って、記憶に大事な場所だよね!」

T先生
「そうだよ。さらに、青斑核はドーパミン(報酬や意欲に関わる物質)も放出するんだ。これが腹側被蓋野(VTA)という部分と協力して、長期記憶の形成も助けているんじゃないかと考えられているよ。」

たろうくん
「じゃあ、勉強の前にチョコレートを食べるといいってこと?」

T先生
「理論的にはそうかもしれないね。実際、大規模な研究では、1年間フラバノールを摂取した高齢者の海馬依存性記憶が改善したという報告もあるんだ。」


自律神経への影響

たろうくん
「脳だけじゃなくて、体にも影響があるの?」

T先生
「あるよ!フラバノールは交感神経系(体を活動モードにする神経)も活性化するんだ。研究では、24時間の尿中カテコールアミン(ノルアドレナリンとアドレナリン)の排泄量が、用量依存的に増加したことが確認されたよ。」

たろうくん
「それってストレスってこと?」

T先生
「そう見えるよね。実際、フラバノール投与後、視床下部のCRH(ストレスホルモンを調節する物質)のmRNA発現が30分後に有意に増加していたんだ。つまり、適度なストレス応答が起こっているんだよ。」

たろうくん
「適度なストレスって、体にいいの?」

T先生
「適度なストレスはホルミシス効果と言って、体を強くすることがあるんだ。例えば、血流が増えて体が活性化したり、集中力が高まったりするよ。」


🤔 渋みを感じる仕組み

たろうくん
「でも、なんで渋みで脳が反応するの?」

T先生
「実は、渋みは味覚というより体性感覚(触覚や痛覚のような感覚)なんだ。フラバノールが口や胃腸で活性酸素を作り、それがTRPチャネルという受容体を刺激すると考えられているよ。」

たろうくん
「それで脳に信号が送られるんだ!」

T先生
「そうだね。その刺激が脊髄後核を経由して青斑核を活性化し、さらに側坐核(報酬や動機づけに関わる部分)にもノルアドレナリンが投射されることが確認されたんだ。」


📝 まとめ!

チョコレートや赤ワインに含まれるフラバノール(渋み成分)が、青斑核を刺激してノルアドレナリンを放出させる!
覚醒維持、注意力向上、短期記憶の改善効果が動物実験で確認された!
青斑核から海馬へのノルアドレナリン投射が記憶の定着を強化する可能性がある!
交感神経系とHPA軸(ストレス応答系)が活性化され、適度なストレス応答が生じる!
渋みは味覚ではなく体性感覚で、TRPチャネルを介して脳に信号を送ると考えられている!


たろうくん
「すごい!チョコレートの渋みって、ただの味じゃなくて、脳を目覚めさせる信号だったんだね!」

T先生
「その通り!ただし、この研究は動物実験が中心だから、人間でどこまで同じ効果があるかは、さらなる研究が必要だよ。それに、チョコレートには糖分や脂肪も含まれるから、適量を楽しむことが大切だね。」

たろうくん
「わかった!ダークチョコレートを少しずつ食べて、勉強も頑張るね!ありがとう、T先生!」😊