ヘッダー画像

医療コラム

T先生!健診の採血項目で脳の健康度がわかるって本当?|つじファミリークリニック|大野城市東大利にある内科・ペインクリニック

T先生!健診の採血項目で脳の健康度がわかるって本当?

(下記の学会発表を元に一部AIを用いて作成しました)

Gumina B et al. The Triglyceride-Glucose Index as predictor of cognitive decline in alzheimer’s spectrum disorders. Abstract OPR-066. EAN Congress, 21-24 June, 2025.

 

たろうくん
「T先生!最近ニュースで、血液検査でアルツハイマー病の進行が分かるようになったって聞いたんだけど、それってどういうこと?」

T先生
「おお、よく知ってるね!実は今年の6月にフィンランドのヘルシンキで開催されたヨーロッパ神経学アカデミーという大きな学会で、とても興味深い研究結果が発表されたんだよ。」

たろうくん
「へぇ〜!どんな研究なの?」


🔬 インスリン抵抗性って何だろう?

T先生
「まず、この研究のカギとなるインスリン抵抗性について説明するね。インスリンは、食事で上がった血糖値を下げる大切なホルモンなんだ。でも、体がインスリンにうまく反応しなくなることがあって、それをインスリン抵抗性というんだよ。」

たろうくん
「なるほど!でも、それがアルツハイマー病とどう関係するの?」

T先生
「実はね、最近の研究で、インスリン抵抗性がアルツハイマー病の発症に深く関わっていることが分かってきたんだ。でも、病気の進行スピードにどう影響するかは、よく分かっていなかったんだよ。」


📊 TyG指数という新しい指標

T先生
「今回の研究では、イタリアのブレシア大学の研究者たちが、『TyG指数(トリグリセライド・グルコース指数)』という血液検査の値に注目したんだ。」

たろうくん
「TyG指数?なんだか難しそう…」

T先生
「簡単に言うと、血液中の中性脂肪と血糖値から計算する数値で、インスリン抵抗性を測る指標なんだよ。この検査のいいところは、安くて簡単にできることなんだ。」

たろうくん
「どうやって計算するの?」

T先生
「ちょっと難しい計算式なんだけど、パソコンの電卓を使えばできるよ。まず、中性脂肪と血糖値をかけて、それを2で割って、その数字の自然対数(ln)を計算するんだ。男性は8.79以上、女性は8.62以上だとインスリン抵抗性があると判断されるんだよ。」

たろうくん
「そうなんだ!で、どんな人を調べたの?」

T先生
315人の患者さんを調べたんだ。そのうち210人がアルツハイマー病で、115人が他の神経の病気の患者さんだったよ。みんな糖尿病ではない人たちだったんだ。」


🎯 驚きの研究結果!

T先生
「研究者たちは、患者さんをTyG指数の値で3つのグループに分けたんだ。そして、軽度認知障害のアルツハイマー病患者161人を詳しく調べたところ、驚くべきことが分かったんだよ。」

たろうくん
「どんなことが分かったの?」

T先生
TyG指数が一番高いグループの人は、認知機能が急速に低下する可能性が4倍以上高かったんだ!具体的には、**MMSE(ミニメンタルステート検査)**という認知機能テストで、年間2.5ポイント以上も下がってしまうリスクが高かったんだよ。」

たろうくん
「4倍以上!?それってすごく大きな違いだね。」

T先生
「そうなんだ。しかも面白いことに、この関係はアルツハイマー病だけで見られて、他の神経の病気では見られなかったんだよ。つまり、アルツハイマー病に特有の現象だということが分かったんだ。」


💡 なぜインスリン抵抗性が問題なの?

たろうくん
「でも、なんでインスリン抵抗性があると、アルツハイマー病が進みやすくなるの?」

T先生
「いい質問だね!研究では、TyG指数が高い人は、心臓や血管の病気のリスクも高くて、血液脳関門という脳を守るバリアが壊れやすくなっている可能性があることも分かったんだ。」

たろうくん
「血液脳関門?」

T先生
「脳は大切な臓器だから、血液から有害な物質が入らないように特別なバリアで守られているんだ。でも、インスリン抵抗性があると、このバリアが弱くなって、脳にダメージが起きやすくなるかもしれないんだよ。」


🏥 これからの医療にどう役立つ?

たろうくん
「じゃあ、この検査ができるようになると、どんないいことがあるの?」

T先生
「この血液検査を使えば、アルツハイマー病の進行が速くなりそうな人を早く見つけられるようになるんだ。そうすれば、生活習慣の改善新しい治療法を早めに始められるよ。」

たろうくん
「なるほど!早く分かれば、対策もできるもんね。」

T先生
「その通り!それに、この検査は安くて簡単だから、多くの病院で使えるようになる可能性があるんだ。家族の人たちも、将来の計画を立てやすくなるというメリットもあるよ。」


📝 まとめ!

TyG指数という血液検査で、アルツハイマー病の進行スピードが予測できる可能性がある!
TyG指数が高い人は、認知機能が急速に低下するリスクが4倍以上高い!
この関係はアルツハイマー病に特有で、他の神経の病気では見られない!
安くて簡単な検査なので、多くの病院で使える可能性がある!
早期発見により、生活習慣の改善や新しい治療を早めに始められる!


たろうくん
「すごいね!血液検査でアルツハイマー病の進行が分かるなんて。おじいちゃんやおばあちゃんの健康を守るのに役立ちそうだね!」

T先生
「そうだね。この研究はまだ始まったばかりだけど、将来的には定期健診でこの指標が記載されるようになるかもしれないよ。科学の進歩で、みんなが健康に長生きできる社会になっていくといいね!」

たろうくん
「うん!ぼくも大きくなったら、こういう研究をして、みんなの役に立ちたいな!ありがとう、T先生!」 😊

 

※当院で健診を受けられた方には、ご希望があれば計算して説明しております。

 

※関連コラム

『T先生!糖尿病とアルツハイマー病って関係あるの?』