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医療コラム

T先生!難聴と認知症の最新情報を教えて!|つじファミリークリニック|大野城市東大利にある内科・ペインクリニック

T先生!難聴と認知症の最新情報を教えて!

(下記の論文を元に一部AIを用いて作成しました)

Lin FR. Age-Related Hearing Loss. N Engl J Med. 2024 Apr 25;390(16):1505-1512. doi: 10.1056/NEJMcp2306778. PMID: 38657246.

→New Engl J Med誌最新号「加齢性難聴と認知機能障害」に関する総説です。

 

たろうくん「T先生、最近よくニュースで難聴の話題を聞くんだけど、最新情報を教えてよ!」

 

T先生「たろうくん、難聴について興味があるんだね。最近の研究で分かったことを分かりやすく説明するよ。」

 

「まず、加齢に伴う難聴は誰にでも起こるんだ。特に60歳以上の人の3分の2以上が何らかの難聴を抱えているんだよ。アメリカでは2019年時点で、7290万人、つまり5人に1人が難聴だと推定されている。」

 

「難聴は人とのコミュニケーションを困難にし、認知機能の低下や認知症のリスクを高めることが分かっているんだ。2020年の報告では、中年期以降の難聴は認知症のリスク要因の中で最大で、全認知症の8%を占めると言われているよ。」

 

「でも、補聴器を使えば、そのリスクは下がるんだ。難聴がある人は、補聴器を使わないと認知症のリスクが1.42倍に増えるけど、補聴器を使えば、そのリスクは1.04倍まで下がるんだよ。」

 

「さらに、認知機能低下のリスクがある高齢者では、補聴器を使うことで3年以内の認知機能低下を48%も抑制できるんだ。すごいでしょ?」

 

たろうくん「へえ、難聴と認知症ってそんなに関係あるんだね。でも、自分の聴力ってどうやって知ればいいの?」

 

T先生「それが、最近はスマホを使って自分の聴力を簡単にチェックできるようになったんだ。『Hearing Number(聴力ナンバー)』っていうアプリがあってね※下記に追記しています」

 

「このアプリで、会話の聞き取りに重要な4つの音の高さ(500、1000、2000、4000ヘルツ)での聴力の平均値を測定できるんだ。これを『聴力閾値の4周波純音平均』、略して『PTA4』って呼ぶんだよ。」

 

「アメリカでは、このPTA4のデータがあれば、処方箋なしで市販の補聴器が買えるようになったんだ。補聴器の値段も、高品質のワイヤレスイヤホンと同じくらいまで下がるかもしれないって。」

 

「でも、もし重度の難聴があれば、人工内耳の手術を考えることもあるんだよ。」

 

たろうくん「へー、補聴器や人工内耳で難聴を治療するのは、認知症の薬よりもコスパがいいかもしれないんだね!」

 

「でも、アメリカでは難聴がある人の補聴器使用率は20%未満、人工内耳装用率は5%未満なんだよね。もっと普及させないとダメだよね。」

 

T先生「その通り!早めに難聴に気づいて、適切な対策を取ることがとても大切なんだ。」

 

「2022年10月からアメリカでは市販の補聴器が解禁になったんだ。スマホを使って自分で難聴をチェックしたり、100〜300ドルくらいで気軽に補聴器が買えるようになるんだよ。」

 

「これからは、自分の聴力を知って、必要なら補聴器を使うことをおすすめするよ。難聴対策は、おそらくアルツハイマー病に対する抗体薬よりもコスパが良く、かつ効果も高い可能性があるからね。」

 

たろうくん「なるほど!難聴について、とてもよく分かったよ。T先生、ありがとう!」

 

※追記(聴力を知るアプリについて)

この論文では自分の聴力を知るために、次のアプリを紹介しています。日本語にも対応していますので、気になる方はダウンロードして測定してみてください。詳しい解説はこちら(英語のホームページになります)

Mimi Hearing Test(アップル版はこちら、Android版はこちら