ヘッダー画像

医療コラム

T先生!高齢者の高血圧の治療目標値について教えて! 🩺|つじファミリークリニック|大野城市東大利にある内科・ペインクリニック

T先生!高齢者の高血圧の治療目標値について教えて! 🩺

(下記の論文を元に一部AIを用いて作成しました)

Jamshidian MS, Scherzer R, Estrella MM, Kravitz RL, Boxer RS, Tancredi DJ, Berry JD, de Lemos JA, Ginsberg C, Ix JH, Shlipak MG, Ascher SB. Individualized Net Benefit of Intensive Blood Pressure Lowering Among Community-Dwelling Older Adults in SPRINT. J Am Geriatr Soc. 2025 Feb 18. doi: 10.1111/jgs.19395. Epub ahead of print. PMID: 39967308.

 

たろうくん
「T先生、おじいちゃんが高血圧の治療をしているんだけど、血圧をどこまで下げればいいのかって、家族で話題になったんだ。高齢者は若い人と同じ目標値なの?」

T先生
「いい質問だね、たろうくん!高齢者の血圧目標値は、実はとても大切な話題なんだよ。最新の研究では、高齢者でも積極的に血圧を下げると良い結果が出ることがわかってきているんだ。」

たろうくん
「へぇ〜、そうなんだ!どんな研究があるの?」


🔍 SPRINTという大切な研究

T先生
「SPRINT(スプリント)という大規模な研究があるんだよ。65歳以上の高齢者5,143人を調査して、収縮期血圧(上の血圧)を120mmHg未満にする積極的な治療と、140mmHg未満にする標準的な治療を比較したんだ。」

たろうくん
「mmHgって何?」

T先生
「血圧の単位だよ。ミリメートル水銀柱って読むんだ。血圧計で”120-80″とか言うでしょ?あの上の数字のことだよ。」

たろうくん
「なるほど!で、結果はどうだったの?」


❤️ 積極的な血圧コントロールの効果

T先生
「結果はとても興味深かったんだよ。積極的に血圧を下げた群(120mmHg未満)は、死亡リスク心臓や血管の病気のリスク、そして認知機能の低下リスクが大きく減ったんだ。」

たろうくん
「わぁ、すごいね!じゃあ、みんなそうしたほうがいいんだね?」

T先生
「ただね、良いことばかりじゃなかったんだ。積極的に血圧を下げると、急性腎障害電解質異常めまいや失神転倒による怪我などの副作用も増えたんだよ。」

たろうくん
「それって怖いね…結局どっちがいいの?」


⚖️ 利益と副作用のバランス

T先生
「研究者たちは、利益と副作用を総合的に評価して『純益(ネットベネフィット)』を計算したんだ。その結果、ほとんどの高齢者で、積極的な血圧コントロール(120mmHg未満)のほうが総合的に見て良いことがわかったんだよ。」

たろうくん
「純益って何?」

T先生
「簡単に言うと、良い効果から悪い効果を差し引いた、実質的な効果のことだよ。研究では、副作用を気にしない人の場合100%の人に純益があり、副作用を心配する人の場合でも85%の人に純益があったんだ。」


👴 高齢者やフレイルの人の場合

たろうくん
「おじいちゃんは77歳で、ちょっと足腰が弱くなってるんだけど、そういう人はどうなの?」

T先生
「とても大事なポイントだね。実は、75歳以上の高齢者フレイル(虚弱)がある人たくさんの薬を飲んでいる人は、副作用が多く出る傾向があるんだ。」

たろうくん
「やっぱり!じゃあ、そういう人は血圧を下げすぎない方がいいよね?」

T先生
「実はね、興味深いことに、そういう人たちは副作用が多い一方で、心臓や血管の病気を防ぐ効果寿命が延びる効果も大きかったんだよ。結果として、総合的な純益はむしろ大きかったんだ。」

たろうくん
「え?どういうこと?」

T先生
「つまり、75歳以上の高齢者や虚弱な人は、血圧を下げることによる副作用リスクが高いけれど、同時に血圧を下げることで得られる命や健康を守る効果も大きい、ということなんだ。だから、総合すると積極的な血圧コントロールの方が良いという結果になったんだよ。」


⚠️ 研究の限界と注意点

T先生
「ただし、この研究には限界もあるんだ。3年以下の余命と予想される人認知症の人介護施設に住んでいる人糖尿病の人脳卒中の既往歴のある人などは研究に含まれていなかったんだよ。だから、全ての高齢者に当てはまるわけではないんだ。」

たろうくん
「なるほど〜。じゃあ、おじいちゃんにはどうしたらいいの?」

T先生
「おじいちゃんの場合は、お医者さんと相談しながら決めるのが一番いいよ。でも、最近の研究結果を踏まえると、一般的には120mmHg未満を目指す治療が多くの高齢者に良い可能性が高いんだ。もちろん、一人ひとりの状態に合わせて調整することが大切だけどね。」


📝 まとめ!

最新の研究(SPRINT)によると、多くの65歳以上の高齢者では、収縮期血圧120mmHg未満を目標とする積極的な治療が良い結果につながる可能性がある!
積極的な血圧コントロールは、死亡リスク、心血管疾患リスク、認知機能低下リスクを減らす!
一方で、急性腎障害、めまい、失神、転倒などの副作用リスクは増加する!
75歳以上の高齢者やフレイルがある人でも、総合的な純益は大きい可能性がある!
ただし、認知症の人や介護施設入居者、余命が短い人などは研究に含まれていないので、個別に判断する必要がある!


たろうくん
「なるほど!おじいちゃんに、お医者さんとよく相談して決めるように伝えるね。でも、今までより少し低めの目標にしたほうがいいのかもしれないね!ありがとう、T先生!」

T先生
「そうだね。大切なのは、おじいちゃんの状態に合わせた治療をすることだよ。それから、血圧を下げる薬を始めたり量を増やしたりした後は、めまいや体調の変化がないか、よく注意して見守ってあげるといいね。何かあったらすぐお医者さんに相談だよ。」

たろうくん
「わかった!血圧の目標値のこと、よくわかったよ。今度おじいちゃんに会ったら教えてあげるね!」 😊