- 子どもから大人まで幅広く対応します
- 家族や社会背景にも目を向けます
- 患者さんの人生をサポートする「あなたの専門医」になります
家庭医療
家庭医療
家庭医療とは、臓器や年齢、性別等医学的な専門性にとらわれず、患者さんならびに地域住民の健康問題を幅広く担当する分野のことをいいます。そして、それを提供するのが家庭医です。
日本では珍しい家庭医(全医者における家庭医の比率0.3%)ですが、海外ではよくある仕組み(家庭医の比率オーストラリア33%、イギリス27%、オランダ24%)です。
イギリスのNHS(National Health Service)という医療制度では、住んでいる地域ごとに指定の家庭医が決められており、何か不調があった時、どんな症状であってもまずは担当の家庭医に相談しに行くルールになっています。
生まれてからずっと同じ医師に相談し続けることも珍しくなく、自分のことをよく知ってもらった上で診察してもらうことができます。
「子どもが風邪をひいた」「ケガ・火傷をした」「急に頭やお腹が痛くなった」「何となく気分が落ち込んでいる」等、家庭医は子どもからご高齢の方まで、どんな症状にもとりあえずご相談に乗ります。
「血圧は内科」「膝が痛いので整形外科」「おしっこの出が悪いので泌尿器科」「皮膚がかぶれるので皮膚科」といったように複数の診療科を受診している患者さんも、患者さんの価値観や全体のバランスを考えながら、当院でまとめてフォローすることが可能です。毎月たくさんの専門病院にかかると、身体的にも精神的にも、そして経済的にも大変です。
もちろん当院での治療が難しい場合には、専門病院としっかり連携を取りながら治療を行います。
従来の専門医を”専門店”あるいは”国語や数学等各教科の高校の先生”とするなら、家庭医は”コンビニ”もしくは”国語から体育まで基本的な部分を教える小学校の先生”のようなものと考えるとわかりやすいかもしれません。どちらが優れているのではなく、どちらも必要不可欠な存在です。
自分の症状がよくある日常的なものなのか、入院が必要となる重症なのか、患者さんご自身で判断するのは難しいこともあります。家庭医は患者さんを適切な医療機関に繋ぐ役割も担っていますので、症状を聞いた上で、必要であればすぐに他の専門医と連絡をとります。
説明が難しい医学的な情報や初対面の医師には伝えづらい患者さんの個別的な事情(家庭や経済的な事情、治療方法の好み等)も、患者さんやご家族に代わって紹介先にお伝えいたします。
専門医に紹介した後も、紹介先とはしっかり連携を取って治療を行います。日頃の体調管理は当院で行い、定期的な検査を行う場合には専門医といったように、患者さんが安心して過ごせるようにお手伝いします。
「たくさんの疾患を抱えている」「何科を受診したら良いか分からない」場合等、まずはお気軽にご相談ください。専門の病院ともしっかり連携を取り、一人一人の価値観に沿ったサポートをしていきます。
同じ健康問題であっても、その人が病院にかかる理由は様々です。例えば風邪をひいた時。症状がつらいのはもちろんですが、週末に大事な部活の試合が控えた中学生、おなかの赤ちゃんに影響がないか心配な妊婦さん、高齢の家族にうつしてはいけないと不安になる介護者の方等、そこには様々な背景があります。
人が抱える健康問題には、身体の問題の他、心の問題、さらに周りの人や経済的なこと等社会的な問題も大きく影響しています。このような視点で人の健康問題を理解しようと提言されたものを、「生物心理社会モデル」といいます。
家庭医は、このモデルを用いて、患者さんの持つ背景も含めてまるごと理解しながら一緒に問題解決へ導く、「患者中心の医療」を展開していきます。日常に起きる様々な健康問題について、気軽にまず相談できる存在でありたいと考えています。
現在目の前にいる患者さんには様々な過去があり、そしてこれからの未来があります。個人のライフサイクルにおいて、それぞれの時期で健康に関するよくある問題が存在します。
家庭医は日常診療の中で患者さんの人生に対する視点も持って診療にあたります。さらに家族全体としてもライフサイクルがあり、家庭医はその点にも着目して診療にあたります。
家族は、患者さんの健康についての考えや行動に大きな影響を与えています。家庭医は、目の前にいる患者さんの他、診察室にいない家族のことも考えながら診療を進めていきます。家庭医療の中では、「家族志向型ケア」として位置付けられています。
また、患者さんは「ご自身の住み慣れた地域」におられます。患者さんの健康問題は、その地域全体の健康問題の一部でもあります。例えば、高齢者が多く雪かきができないため病院を受診しにくい地域、坂が多く転倒を繰り返す方が多い地域、地域のサロンが充実して健康な方が多い地域等、地域によって特徴は異なります。
家庭医は、時に診察室の外にも焦点を合わせて、地域全体の健康問題を把握し、目の前の患者さんの問題に活かしていきます。
これまでお話ししてきたように、家庭医は一人ひとりのことを深く知った上で診療を行います。そのためには多くの会話をして、あなたのことを知ろうとします。目の前の症状には関係なさそうな質問でも、それはあなたを理解する上で必要なことなのです。これは、ただのおしゃべりな医師というわけではなく、多くの実践と臨床研究によって生み出された方法です。
これらを解決できるのが家庭医です。幅広い分野を診ることができる家庭医は、一人ひとりに合わせた診療や予防を専門としています。この”患者さん中心”の診療スタイルは、まるで「あなたの専門医」と呼ぶこともできます。