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医療コラム

かぜについて|つじファミリークリニック|大野城市東大利にある内科・ペインクリニック

かぜについて

かぜについて

 

#1.疾患の概要

みなさんは「かぜ」をひいたことがありますよね。でも、医学的に「かぜ」とは何なのか、きちんと知っていますか?
「かぜ」は正式には「かぜ症候群」と呼ばれ、様々な種類のウイルスが原因で起こる病気です。特に鼻やのどなどの「上気道」と呼ばれる部分に炎症を起こすのが特徴です。主な症状として、鼻水が出る、のどが痛む、咳が出るなどの症状が現れますが、これらは体がウイルスと戦っているサインなのです。
かぜの原因となるウイルスの中で最も多いのは「ライノウイルス」というものです。その他にも「コロナウイルス」(新型コロナウイルスとは別の種類です)、「インフルエンザウイルス」、「RSウイルス」など、実に様々な種類のウイルスが原因となります。
年齢によってかぜにかかりやすさは変わってきます。例えば、子どもは年間に6~10回もかかることがありますが、大人になるにつれて徐々に減っていき、20~39歳では年に2~4回、40歳以上では1~2回程度になります。これは、年齢とともに免疫力が上がっていくためです。
通常、かぜは7~10日程度で自然に治る病気です。しかし、高齢の方や、持病のある方は重症化する可能性もあるので、症状が悪化する場合は早めに医師に相談することが大切です。

 

#2.疾患の原因

「かぜ」の原因は、主にウイルスの感染です。では、どのようにしてウイルスは私たちの体に入ってくるのでしょうか?

感染経路は主に2つあります。

1つ目は「飛沫感染」です。これは、かぜにかかった人のくしゃみや咳と一緒に飛び出したウイルスを、周りの人が吸い込んでしまうことで起こります。

2つ目は「接触感染」です。例えば、ウイルスが付いた手すりやドアノブに触れた手で、自分の目や鼻、口を触ることで感染してしまうのです。

かぜは1年中かかる可能性がありますが、季節によって原因となるウイルスの種類が変わります。また、以下のような状況のときは特にかかりやすくなります:

・疲れがたまっているとき

・睡眠不足が続いているとき

・急激な温度変化にさらされたとき

・体の抵抗力(免疫力)が低下しているとき

・ストレスが多いとき

このように、かぜは単にウイルスに触れただけでなく、私たちの体調や環境要因も大きく関係しています。そのため、予防には手洗いやマスクの着用といった感染対策だけでなく、十分な睡眠をとることや、バランスの良い食事を心がけることも大切です。

 

#3.疾患の症状

 

かぜの症状は主に「のど」「はな」「せき」の3つの場所に現れます。これらの症状は、体がウイルスと戦っているために起こるものなのです。典型的なかぜの場合、症状は次のような順序で現れることが多いです。

最初は、37~38度くらいの軽い熱が出て、体がだるくなり、のどに痛みを感じ始めます。その1~2日後には、鼻水が出たり、鼻づまりが起こったりします。そして、その後から咳が出始めるというパターンが一般的です。

それぞれの症状をくわしく見てみましょう:

1. のどの症状:

・のどが痛い、ヒリヒリする

・飲み込むときに痛みを感じる

・のどがかわく

2. 鼻の症状:

・くしゃみが出る

・鼻水が出る(最初は水っぽい鼻水が、後から濃くなることも)

・鼻づまりで息がしづらい

3. せきの症状:

・乾いた咳が出る

・たんが出る咳に変わることもある

これらの症状は、通常3日くらいで一番つらい状態(ピーク)になり、その後徐々に良くなっていきます。全体として7~10日程度で自然に治っていくのが一般的です。

ただし、これらの症状が2週間以上続く場合や、高熱が続く場合は、普通のかぜではない可能性もあるので、病院を受診することをお勧めします。

 

#4.疾患の治療

かぜの治療で一番大切なのは、「症状を和らげること」と「体を休ませること」です。かぜはウイルスが原因の病気なので、抗生物質(抗菌薬)は効果がありません。むしろ、不必要な抗生物質を使うと、お腹をこわすなどの副作用が出る可能性があるため、医師からは処方されないのが一般的です。

では、具体的にどのような治療を行うのでしょうか?

1. 薬による治療:

・熱や痛みがつらい時は解熱鎮痛薬

・咳が気になる時は咳止め薬

・鼻水が多い時は鼻水を抑える薬

・漢方薬(体質や症状に合わせて)

2. 生活面での治療:

・十分な睡眠をとる(休養が一番の薬です)

・水分を多めに取る(お茶やお水、スープなど)

・のどの痛みには、蜂蜜を少し舐めるのも効果的

・マスクをして喉を乾燥から守る

・部屋の湿度を50~60%に保つ

 

また、症状を和らげる工夫として、以下のようなことも効果があるとされています:

・水でうがいをする(予防効果もあります)

・ビタミンCを含む食べ物を取る

・温かい飲み物で体を温める

・首や体を冷やさないようにする

 

このように、かぜの治療は「体を休ませる」ことと「症状を和らげる」ことを中心に行います。焦って早く治そうとせず、体が自然に治るのを助けてあげることが大切なのです。

 

#5.以後、気を付けていくこと

かぜは通常自然に治る病気ですが、きちんと対策を知っておくことで、重症化を防いだり、周りの人にうつすことを防いだりできます。以下の点に気を付けていきましょう。

1. すぐに病院を受診した方が良い状況:

・38度以上の高熱が3日以上続く

・息をするのが苦しい

・のどの痛みが強く、水も飲めない

・頭痛がひどく、首が硬くなる感じがある

・症状が2週間以上よくならない

2. 日常生活での注意点:

・無理に学校や仕事に行かず、しっかり休養をとる

・マスクを着用し、他の人にうつさないよう気を付ける

・栄養バランスの良い食事を心がける

・十分な水分を取る

・部屋の温度と湿度に気を配る

3. 予防のために心がけること:

・外から帰ったら必ず手洗い・うがいをする

・規則正しい生活を送り、十分な睡眠をとる

・マスクの着用や換気など、基本的な感染対策を続ける

・体調が悪いときは早めに休む

・運動や栄養バランスの良い食事で免疫力を高める

 

このように気を付けることで、かぜの予防や早期回復につながります。また、かぜをひいたときは、自分の体調管理だけでなく、周りの人にうつさないための配慮も大切です。