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医療コラム

T先生!コロナにかかると、将来の認知症が心配って本当?|つじファミリークリニック|大野城市東大利にある内科・ペインクリニック

T先生!コロナにかかると、将来の認知症が心配って本当?

📢 T先生!コロナにかかると、将来の認知症が心配って本当? 🏥

(下記の論文を元に一部AIを用いて作成しました)
出典: Duff EP, Zetterberg H, Heslegrave A, et al. “Plasma proteomic evidence for increased β-amyloid pathology after SARS-CoV-2 infection” Nature Medicine. 2025;31(3):797–806. doi:10.1038/s41591-024-03426-4 / 論文全文(PMC)

この記事のまとめ
新型コロナに感染した人の血液で、アルツハイマー病に関わる指標(Aβ42:Aβ40比)が2%低下していました。研究者はこれを「約4年分の加齢に相当する」と表現しています。
変化が大きかったのは入院した人(5.5%低下)と高血圧のある人で、軽症の人は小さめでした。
ただしこれは観察研究で、認知症になると決まった話ではありません。今できるのは重症化を避けることと、血圧などの持病を整えることです。


たろうくん
「T先生!ニュースで『コロナにかかると認知症になりやすい』って見たんだけど、本当なの?おじいちゃんも去年かかったから心配で…。」

T先生
「心配になるよね。実はね、2025年に Nature Medicine という医学誌に、まさにその話を調べた研究が載ったんだ。ただ結論を先に言うと、『認知症になる』という研究じゃないんだよ。」

たろうくん
「えっ、じゃあ何を調べたの?」

T先生
血液の中の”きざし”だよ。順番に見ていこうか。」


🧪 感染する前と後の血液を、同じ人で比べた

📌 研究の中身(Duff EPら, Nature Medicine 2025)
・対象: イギリスのUKバイオバンク参加者 1,252人(感染した人と、していない人を626組のペアにして比較)
・年齢: 採血時点で46〜80歳
・方法: パンデミック前パンデミック中の2回、同じ人の血液を測って変化を比べた(採血の間隔は12か月〜82か月
・感染の判定: 検査での陽性、医療記録、または自宅での抗体検査(追加検査で確認したもの)

たろうくん
「同じ人の”前と後”なんだ!」

T先生
「そこがこの研究のいちばん強いところだね。感染する前の自分と比べているから、『もともとそういう人だったのでは?』という疑いを減らせる。しかも感染していない人のペアと並べているから、ただ歳を取っただけの変化も差し引ける。」


🧠 Aβ42:Aβ40比って何?

たろうくん
「Aべーた…?呪文みたい。」

T先生
「はは。アミロイドβっていう、脳にたまるとアルツハイマー病に関わるとされているタンパク質のかけらだよ。長さの違う2種類があってね、Aβ42Aβ40。」

たろうくん
「その割り算をするの?」

T先生
「そう。ここが面白いところなんだけど、Aβ42は脳にたまりやすい方なんだ。だから脳にたまり始めると、血液の中に出てくるAβ42が減る。結果としてAβ42:Aβ40の比が下がる比が下がる=脳の方にたまっているかもしれない、というサインなんだよ。」

たろうくん
「なるほど、血を採るだけで脳の様子が推測できるんだ!」


📊 その”比”が、2%下がっていた

🥇 主な結果
・感染した人は、していない人に比べて Aβ42:Aβ40比が2%低下P = 0.0006、多重比較の補正後も有意)
・研究者による表現: この効果は 「約4年分の加齢」 に相当し、アルツハイマー病の危険因子として知られるAPOE-ε4遺伝子を1本持つ場合の平均的な影響の約半分
入院した人は5.5%低下、入院しなかった人は2.0%低下重症だった人ほど変化が大きい
高血圧を報告していた人でも変化が大きかった
・75歳の平均的な参加者で推定すると、pTau-181が8.2%増加、Aβ42が4.7%低下、比が2.3%低下

たろうくん
「4年分の老化!?たった1回のコロナで!?」

T先生
「そう聞くと怖いよね。でもね、ここがとても大事なところなんだけど——これは”血液の指標”の話であって、”4年ぶん頭が悪くなった”という意味ではないんだ。あくまで、脳の中で起きていることを外から推し量る目印が動いた、ということ。」


🤔 記憶や体調にも影響していた?

T先生
「実際の測定でも、少しだけ差は出ているよ。」

🔹 認知機能と健康感
・感染した人は、していない人に比べて全般的な認知機能が追加で1.99%低下P = 0.029)。研究では加齢による低下のおよそ2年分(加齢は年1.16%)に相当すると説明されている
全体的な健康状態の自己評価も2.39%悪化P = 0.007

たろうくん
「2%って、大きいの?小さいの?」

T先生
「正直に言うと、一人ひとりが日常で気づくレベルではないと思うよ。1,252人という集団で平均を取って初めて見える差だからね。ただ、社会全体で何億人も感染したことを考えると、集団としては無視できない——研究者が心配しているのはそこなんだ。」


⚠️ この研究で”分かっていないこと”

T先生
「ここは正直に伝えておきたいところ。この研究には、はっきりした限界があるんだよ。」

📌 論文自身が挙げている限界
観察研究なので、因果関係は証明できない(論文も「causality(因果)を確立するものではない」と明記)
もともと脳に変化があった人ほど感染しやすかった、という逆向きの説明も否定しきれない
・症状のなかった人が取りこぼされている可能性、抗体検査の偽陽性の可能性がある
・UKバイオバンクの参加者は健康で偏りのある集団で、そのまま日本人に当てはめられない
神経のダメージを示すNfLやGFAPという指標は、感染後に上がっていなかった

たろうくん
「え、神経のダメージの指標は上がってないんだ?」

T先生
「そこが大事なんだよ。“神経がボロボロに壊れた”という所見は出ていない。動いたのはアミロイドβに関わる指標だけ。だから『コロナで脳が壊れる』ではなく、『アルツハイマー病の方向に、ほんの少し傾いたかもしれない』という慎重な読み方が正しいんだ。」


🩺 じゃあ、今できることは?

たろうくん
「もうかかっちゃった人はどうすればいいの?」

T先生
「まず、過剰に怖がらなくていい。そのうえで、この研究から素直に読み取れることが2つあるよ。」

🥈 この研究から言えること
変化が大きかったのは”入院した人”。つまり重症化を避けることは、そのまま理にかなっている(ワクチンや基礎疾患の管理はここに効く)
変化が大きかったのは”高血圧のある人”血圧をきちんと下げておくことは、もともと認知症予防としても勧められている

たろうくん
「特別なことじゃないんだね。」

T先生
「そうなんだ。結局は、いつもの当たり前に戻ってくる。血圧・血糖・運動・睡眠、それに難聴があれば補聴器。コロナがあってもなくても、脳を守る方法は変わらないんだよ。」

たろうくん
「そういえば前に、帯状疱疹のワクチンで認知症が防げるかもって話もあったよね?」

T先生
「よく覚えていたね。実はその2つは同じコインの裏表なんだ。ウイルスの感染が認知症のリスクに関わっているかもしれない——今日の研究はその『感染する側』、帯状疱疹ワクチンの研究は『防ぐ側』を見ている。まだどちらも結論は出ていないけれど、同じ方向を指しているのは確かだよ。」

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📝 まとめ!

感染後にアミロイドβの指標が2%下がった
UKバイオバンク1,252人(626ペア)の感染前後の血液で、Aβ42:Aβ40比が2%低下(P = 0.0006)。研究者は約4年分の加齢に相当すると表現している。

重症だった人ほど変化が大きい
入院した人は5.5%低下、入院しなかった人は2.0%低下。高血圧のある人でも変化が大きかった。

認知機能の差はごくわずか
感染者は認知機能が追加で1.99%低下(P = 0.029)、健康感が2.39%悪化(P = 0.007)。個人が日常で気づく大きさではない

これは”認知症になる”という研究ではない
観察研究なので因果は証明されていない。神経のダメージを示すNfL・GFAPは上がっていない。UKバイオバンクは健康寄りの集団で、そのまま日本人に当てはめられない。

できることは、いつもの管理に戻ってくる
重症化を避けること(ワクチン・持病の管理)と、血圧をきちんと下げること。コロナのあとに物忘れや強い倦怠感が続いて生活に支障が出ているなら、一度ご相談ください。


たろうくん
「おじいちゃんには『血圧の薬、ちゃんと飲んでね』って言うことにする!」 😊

T先生
「それがいちばんの答えだよ。ニュースの見出しだけで怖くならず、中身を見てから落ち着いて手を打つ——それが大人のやり方だね。」

📚 参考文献

Duff EP, Zetterberg H, Heslegrave A, Dehghan A, Elliott P, Allen N, Runz H, Laban R, Veleva E, Whelan CD, Sun BB, Matthews PM. Plasma proteomic evidence for increased β-amyloid pathology after SARS-CoV-2 infection. Nature Medicine. 2025;31(3):797–806. doi:10.1038/s41591-024-03426-4