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医療コラム

T先生!認知症を防ぐ運動って、種類で違うの?|つじファミリークリニック|大野城市東大利にある内科・ペインクリニック

T先生!認知症を防ぐ運動って、種類で違うの?

📢 T先生!認知症を防ぐ運動って、種類で違うの? 🏃

(文末の参考文献をもとに、一部AIを用いて作成しました)

この記事のまとめ
茨城県笠間市の高齢者5,074人を約4年追いかけた研究で、認知症の発症リスクの低下と結びついたのは、グラウンドゴルフ・ゲートボールのなかまと、筋力トレーニングの2つだけでした。
体操・ウォーキング・ゴルフでは、はっきりした差は出ていません。ただし「差が出なかった」は「効果がない」とは違います。
今の運動はやめず、そこに筋トレと、人と一緒にやる活動を足すのが現実的な選び方です。


たろうくん
「T先生!おばあちゃん、毎日30分歩いてるよ。運動は認知症にいいんだよね?」

T先生
「うん、運動が認知症の予防にいいことは前から言われているよ。でもね、『どの種目がいいのか』を比べた研究は、実はあまりなかったんだ。そこを日本のデータで調べた報告が出てね。」

たろうくん
「種目で違うの!?」


🏃 茨城県笠間市の高齢者5,074人を4年追いかけた研究

T先生
「日本体育大学と筑波大学などのグループが、茨城県笠間市に住んでいる高齢者に郵送で調査をして、そこから約4年間追いかけたんだ。分析できたのは5,074人だよ。」

📌 研究のあらまし
🔹 場所:茨城県笠間市(1つの市だけ。しかも農村部)
🔹 郵送調査:2013年6月と2017年8月
🔹 追跡:2021年7月まで(追跡期間の中央値4.0年)
🔹 認知症の判定:厚生労働省が定めた全国共通のものさし(市の記録にもとづく「生活の自立度」の判定。医師の確定診断そのものではありません)
🔹 17種目のうち、参加者が150人以上いた体操・ウォーキング・グラウンドゴルフ/ゲートボール・ゴルフ・筋力トレーニングの5種目を分析

たろうくん
「4年で、何人くらいが認知症になったの?」

T先生
430人。全体の8.5%だね。それで、17種目のどれもしていない人たちと比べたんだ。」


📊 差が出たのは、2つだけ

📊 運動していない人と比べた認知症の発症リスク
🥇 筋力トレーニング … 0.26倍(95%信頼区間 0.08〜0.81)
🥈 グラウンドゴルフ・ゲートボールのなかま … 0.68倍(95%信頼区間 0.46〜0.99)
🔹 体操・ウォーキング・ゴルフ … はっきりした差なし
1倍=運動していない人と同じ。数字が小さいほど、発症した人が少なかったということです。( )の中は見積もりのブレの範囲です。

たろうくん
「ゲートボールって書いてないよ?」

T先生
「いいところに気づいたね。この研究では、グラウンドゴルフ・ゲートボール・クロッケーを『ひとまとまり』にして数えているんだ。だから『ゲートボールだけがいい』という結果ではなくて、グラウンドゴルフも含んだ、ひとまとまりの結果だと思ってほしいな。」

たろうくん
「なるほど。……でも筋トレが0.26倍!? 4分の1じゃん!」

T先生
「数字だけ見るとすごいよね。でもね、ここは慎重に見てほしいところなんだ。筋トレの結果には0.08〜0.81という幅がついているだろう。この幅が広いほど、その見積もりが不確かだということなんだよ。」

たろうくん
「なんで幅が広くなるの?」

T先生
もとになった人数が少ないからなんだ。筋トレをしていた人は193人で、そのうち認知症になったのはたったの3人。3人という数字から計算した結果だから、どうしても幅が広くなる。」

たろうくん
「3人! それは……たしかにブレそうだね。」

T先生
「そう。だから『効果は大きいかもしれない。でも、どのくらい大きいかまでは分からない』が正確な読み方だね。グラウンドゴルフのほうは0.46〜0.99で幅は狭いけど、上のはしが0.99だから、ぎりぎり差が出たという結果なんだ。」

T先生
「つまり、2つとも『有望だけど、これで決まりとは言えない』——それが今回の結果だよ。」


⛳ ゴルフは「効果なし」ではない

たろうくん
「ゴルフは差がなかったんでしょ?」

T先生
「これがね、おもしろいんだ。ゴルフの数字は0.48倍(0.22〜1.04)。点の数字だけ見たら、グラウンドゴルフより低いんだよ。」

たろうくん
「えっ、じゃあなんで『差なし』なの?」

T先生
「幅の上のはしが1.04で、1をちょっとだけまたいでしまったからなんだ。研究した人たち自身も『差が見えなかったのは人数が少なかったせいかもしれない。ゴルフもグラウンドゴルフと同じように、体の使い方を工夫しながら仲間とやる運動だから、役に立つ可能性がある』と書いているよ。」


🚶 「じゃあウォーキングは意味がないの?」

たろうくん
「おばあちゃんのウォーキング、ムダなの?」

T先生
「そこ、いちばん誤解してほしくないところなんだ。『差が出なかった』は『効果がない』とは違うんだよ。

たろうくん
「どうして差が出なかったんだろう?」

T先生
「研究した人たちは、こう説明しているよ。この研究は『やっているかどうか』しか聞いていなくて、『どれくらいの時間・どれくらいの強さでやったか』は聞いていないんだ。だから、ウォーキングや体操の人の中に、量が足りていない人がまざっていたかもしれない、とね。」

たろうくん
「なるほど、中身が分からないんだ。」

T先生
「それにね、この研究は”観察した”だけで、”やってもらって比べた”わけじゃないんだ。だから、もともと元気で頭がしっかりしている人ほど、グラウンドゴルフや筋トレを選んでいたという可能性が消せない。」

たろうくん
「あっ、逆かもしれないんだ。」

T先生
「そう。運動のおかげで元気なのか、元気だからその運動ができたのか。この研究だけでは決められない。だから僕は『ウォーキングをやめて筋トレに変えましょう』とは言わないよ。」

T先生
「あと、1つの市の、しかも農村部だけのデータだということも覚えておいてね。ご近所づきあいが濃い地域では、運動していなくても人と会う機会があるから、運動の差が出にくかったのかもしれない——研究した人たちはそう考えているんだ。」


💪 じゃあ、今日から何をすればいい?

たろうくん
「結局どうすればいいの?」

T先生
「僕がすすめるのは、この3つかな。」

📌 今日からの3つ
1️⃣ 今やっている運動はやめない(ウォーキングも体操も、続ける価値は十分ある)
2️⃣ そこに筋トレを足す(いすからの立ち座り、かかと上げ、ペットボトルなど、身近なものから。必ず机やいすなど支えのそばで行い、痛みが出たら中止。持病のある方は始める前にご相談ください
3️⃣ 人と一緒にやる活動を1つ持つ

たろうくん
「2つめは、どのくらいやればいいの?」

T先生
「実はね、この研究は『筋トレをしているか』しか聞いていないから、どんな内容をどれくらいやればいいかまでは分からないんだ。だから、まずは無理なくできるものから、というのが正直なところだよ。」

たろうくん
「3つめは、なんで?」

T先生
「グラウンドゴルフやゲートボールって、体を動かすだけじゃなくて、狙って打つ、順番を考える、仲間と話すが全部入っているだろう。この研究がその理由まで確かめたわけではないけれど、“体だけ”より”体と頭と人づきあいが一緒に動く”活動を選ぶのは、悪くない考え方だと思うんだ。」

T先生
「あと1つだけ。持病がある人は、筋トレを始める前に一度相談してほしい。血圧やひざの状態によって、やり方を変えたほうがいいことがあるからね。」


📝 まとめ!

認知症の発症リスク低下と結びついたのは、グラウンドゴルフ・ゲートボールのなかまと、筋トレの2つ
運動していない人と比べて、筋トレが0.26倍、グラウンドゴルフ・ゲートボールのなかまが0.68倍でした。この研究ではグラウンドゴルフ・ゲートボール・クロッケーをひとまとめに数えています。

筋トレの0.26倍は、193人中3人の発症から計算された数字
だから信頼区間の幅が広く、「効果は大きいかもしれないが、どのくらいかは分からない」というのが正確な読み方です。

体操・ウォーキング・ゴルフで「差が出なかった」=「効果がない」ではない
運動の時間や強さを測っていないこと、ゴルフは人数が少なく見きれなかった可能性があることを、研究者自身が指摘しています。

観察した研究なので、順番が逆の可能性も消せない
もともと元気な人ほどグラウンドゴルフや筋トレを選んでいた、という説明も成り立ちます。また、1つの市の農村部だけのデータです。

今の運動はやめず、「筋トレ」と「人と一緒にやる活動」を足す
持病がある方は、筋トレを始める前に一度ご相談ください。


たろうくん
「運動って、量だけじゃなくて中身も大事なんだね。」

T先生
「そうだね。まずは続けられること。そのうえで、少しだけ足してみる。それがいちばん現実的だと思うよ。いつでも相談してね。」 😊


📚 参考文献

・Nagata K, Tsunoda K, Fujii Y, et al.『Types of Exercise and Risk of Developing Dementia in Older Japanese Community-Dwelling Adults: A Prospective Study』Geriatrics & Gerontology International 2026;26(8):e70774