尿で「がん」を見つける時代へ ── マイシグナルの新しい研究成果をご紹介します
こんにちは。つじファミリークリニック院長の辻です。
今日は、当院でも導入している 「マイシグナル」 という検査に関する新しいニュースをお伝えしたいと思います。
マイシグナルとは?
マイシグナルは、尿を提出するだけで複数のがんのリスクを調べることができるスクリーニング検査です。
尿の中に含まれる「エクソソーム」という小さな粒子の中のマイクロRNA(miRNA)を解析する技術を用いています。
採血も不要で、痛みもなく、自宅で採尿して郵送するだけ。(当院でおこなうこともできます)
「がんの検査はしたいけど、忙しくて病院に何度も通えない」「採血が苦手」という方にも受けていただきやすい検査です。
最近発表された2つの研究
このマイシグナルの技術を用いた新しい研究論文が、2026年に2本発表されました。
どちらも国際的な学術雑誌に掲載された論文で、日本の複数の医療機関が参加した多施設共同研究です。
それぞれ簡単にご紹介しますね。
1. 膵臓がん ── ハイリスクの方からの早期発見を目指して
(Kawase T et al. Frontiers in Oncology, 2026)
膵臓がん(すい臓がん)は、すべてのがんの中でも特に発見が難しく、見つかった時にはすでに進行していることが多いがんです。
5年生存率は約10%と言われており、「早く見つけること」が何よりも大切です。
この研究では、膵臓がんになりやすいとされる方々(糖尿病、慢性膵炎、膵のう胞、家族歴のある方など)と、実際に膵臓がんと診断された方の尿を比較しています。
日本の5つの医療機関から248例のサンプルを集め、AIを用いた解析を行った結果:
- 全体の感度80%、特異度79%(AUC 0.89)
- 早期の膵臓がん(ステージ0〜IIA)でも感度73% で検出
という成績が報告されました。
従来の血液検査(CA19-9)では早期の膵臓がんの感度が34%程度にとどまっていたことを考えると、大きな進歩です。
しかも採血ではなく「尿」で検査できるわけですから、定期的なフォローにも適しています。
2. 食道がん ── ステージ0での感度100%
(Murano T et al. Cancer Science, 2026)
食道がんも、初期には症状が出にくく、発見が遅れがちながんの一つです。
現在の標準的なスクリーニングは内視鏡検査ですが、身体的な負担があるため、定期的に受けることに抵抗を感じる方も少なくありません。
この研究では、5つの医療機関から食道扁平上皮がん(食道がんの主なタイプ)の患者さんと健常者の尿を集め、尿中エクソソームのmiRNAパネルを構築しています。
結果は:
- 検証コホートでAUC 0.85、感度84%
- ステージ0(最も早い段階)での感度が100%
- ステージIでの感度91%
- 治療後にスコアが有意に低下(がんの有無を反映している可能性)
特に驚いたのは、ステージ0で感度100%という点です。
内視鏡でも見逃されることがある段階のがんを、尿の検査で捉えることができるかもしれない。
これは本当に画期的な研究だと思います。
「尿で調べる」ことの意味
2つの研究に共通するのは、「尿」という身体への負担がまったくないサンプルで、がんの早期発見に迫れる可能性を示したということです。
がんの検査は、「受けたほうがいいのは分かっているけど、なかなか…」という方が多いのが現実です。
でも、尿を出すだけなら、ハードルがぐっと下がります。
もちろん、これらの研究はまだ「スクリーニング(ふるいわけ)」としての位置づけであり、陽性が出た場合には精密検査(CT、内視鏡など)が必要です。
万能な検査ではありませんが、「気づくきっかけ」を早い段階で得られるという点に、大きな価値があると僕は考えています。
当院でのマイシグナル検査について
当院では、マイシグナルの検査を取り扱っております。
「がんが心配だけど、何から始めていいか分からない」という方、
「家族にがんの方がいて、自分も気をつけたい」という方、
お気軽にご相談ください。
尿を採るだけの検査ですので、思い立った時にすぐに始められます。
大切なのは、「何もないことを確認する安心感」 を手に入れることだと思います。
一緒に、できることから始めていきましょう。
つじファミリークリニック
院長 辻 隆宏