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医療コラム

T先生!血圧やたばこを放っておくと、「認知症にならない時間」はどれくらい減るの?|つじファミリークリニック|大野城市東大利にある内科・ペインクリニック

T先生!血圧やたばこを放っておくと、「認知症にならない時間」はどれくらい減るの?

📢 T先生!血圧やたばこを放っておくと、「認知症にならない時間」はどれくらい減るの? 🧠

(文末の参考文献をもとに、一部AIを用いて作成しました)

この記事のまとめ
中年期に高血圧・糖尿病・喫煙の3つがあった人は、55歳からの「認知症のない年数」が平均17.5年。3つとも無い人の30.1年より約13年短いという報告が出ました。
ただし3つある人のほうが、95歳までに認知症と診断される割合はむしろ低くなります。認知症になる前に亡くなる人が多いためです。
血圧・血糖・禁煙の管理は「認知症をなくす」ものではなく、「認知症のない時間を延ばす」取り組みです。


たろうくん
「T先生!血圧の薬って、心臓や血管のために飲むんだよね。認知症とも関係あるの?」

T先生
「関係あるよ。しかもね、その関係を今までにない形で示した研究が出たんだ。『認知症になる確率が何%上がる』じゃなくて、『認知症のないまま過ごせる年数が何年変わるか』で出しているんだよ。」

たろうくん
「年数!? それ、すごく分かりやすいね。」


🧠 中年期にチェックした高血圧・糖尿病・喫煙の3つ

T先生
「アメリカの4つの地域で1万2千人以上を長年追いかけたARIC研究という大きな調査があってね。55歳の時点で認知症がなかった人が、そこから95歳までの間にどうなるかを計算したんだ。中年期に見たのは、たった3つだよ。」

📌 中年期にチェックした3つ(1990〜1992年の測定)
🔹 糖尿病(本人の申告・服薬・HbA1c 6.5%以上のいずれか)
🔹 高血圧(血圧140/90mmHg以上、または服薬中)
🔹 喫煙(そのとき吸っている)


📊 認知症のない年数は、30.1年から17.5年まで変わった

たろうくん
「それで、どうなったの?」

T先生
「持っている数で、55歳からの『認知症のない年数』がこう変わったんだ。

📊 55歳からの認知症のない年数(12,409人・追跡期間の中央値26.3年)
🥇 3つとも無い … 30.1年
🥈 1つある … 26.3年
🥉 2つある … 21.0年
⚠️ 3つとも ある … 17.5年

たろうくん
「えっ、30年と17年!? 13年も違うの!」

T先生
「そう、約13年だね。ただ、この『年数』は読み方に少しコツがあるんだ。」

たろうくん
「コツ?」

T先生
「この30.1年というのは、『55歳から95歳までの40年間のうち、”生きていて、かつ認知症でない”状態で過ごせた年数の平均』なんだ。だから認知症になった時点でも、亡くなった時点でも、そこでカウントは止まるんだよ。」

たろうくん
「じゃあ17.5年って、『72歳で認知症になる』っていう意味…?」

T先生
そこは違うんだ。17.5年の中には、認知症にならないまま亡くなった人の年数も入っている。だから『何歳で認知症になるか』を示した数字ではないんだよ。」

T先生
「でも、だからこそ意味のある数字でもあってね。認知症も、早すぎる死も、どちらも”元気なままの時間”を削るものだよね。この年数は、その両方をまとめて『何年ぶんか』で表しているんだ。」

T先生
「つまり中年期の3つは、『なるか・ならないか』の話じゃなくて、『元気な時間が何年ぶんか』の話なんだよ。」


⚠️ 意外な結果:3つある人のほうが、認知症の「割合」は低い

T先生
「でもね、ここがとても大事なところなんだけど…この研究、素直じゃない結果も出しているんだ。」

たろうくん
「素直じゃない?」

T先生
95歳までに認知症と診断された人の割合は、3つ持っている人のほうがむしろ低かったんだよ。」

たろうくん
「えっ!? 逆じゃないの!?」

T先生
「理由はね……認知症になる前に、亡くなってしまう人が多いからなんだ。実際、3つとも無い人と比べると、3つある人は認知症にならないまま亡くなるリスクが5.6倍認知症になるリスクも2.7倍に上がっているんだけど、それ以上に早く亡くなってしまう。だから『診断された人の割合』としては下がって見えるんだ。」

たろうくん
「……それ、ちっとも良くないね。」

T先生
「そうだね。だから論文の著者たちも、『血管の健康を保つと認知症のない年数は延びるが、長く生きるぶん、一生涯の認知症リスクはむしろ上がる』とはっきり書いているんだ。」

T先生
健康にしても、認知症がゼロになるわけじゃない。でも”認知症でない時間”は確実に長くなる。ここが今回いちばん誠実な部分だと思うよ。」


🩺 「もう手遅れ」と読まないでほしい理由

たろうくん
「でもさ、この研究って1990年代に1回測っただけなんでしょ? そのあと血圧を下げた人だっているよね?」

T先生
「するどいね! まさにそこが、この研究のいちばんの弱点として論文にも書かれているんだ。測ったのは中年期の1回きり。その後よくなった人も、悪くなった人も、区別できていない。」

たろうくん
「じゃあ、この13年って…」

T先生
『もう決まってしまった13年』とは読めないんだ。この研究が見ているのは『中年期に3つあった人たちの平均』であって、『そのあと治した人がどうなったか』は追えていないからね。」

T先生
「むしろ著者たちは、血管に負担をかける要因は年とともに悪くなりがちだから、この見積もりはまだ控えめかもしれないとも書いている。大事なのは今どうするか。血圧を測る、血糖を診てもらう、たばこをやめる。そのどれもが、これからの”認知症のない年数”の話なんだよ。」


📝 まとめ!

中年期の高血圧・糖尿病・喫煙の”数”で、認知症のない年数が変わる
55歳からの認知症のない年数は、3つとも無い人が30.1年、3つある人が17.5年。その差は約13年でした。

3つある人のほうが「認知症と診断される割合」は低い。でも喜べない
認知症になる前に亡くなる人が多いためで、認知症にならないまま亡くなるリスクは5.6倍でした。

目標は「認知症をなくす」ではなく「認知症のない時間を延ばす」
長く生きるぶん生涯の認知症リスクはむしろ上がる——それでも、元気な時間は長くなります。

測ったのは中年期の1回だけ。だから「今から」に意味がある
研究の弱点がそのまま、今日から血圧・血糖・禁煙に取り組む理由になります。


たろうくん
「血圧の薬って、今日の血圧のためだけじゃないんだね。」

T先生
「そういうこと。何十年か先の”認知症のない時間”のためでもあるんだ。健診で血圧や血糖を指摘されたままになっていたら、そのままにしないで相談してね。いつでも聞いてくれていいよ。」 😊


📚 参考文献

Hu J, Coresh J, Smith JR, Sharrett AR, Gottesman RF, Lutsey PL, Mosley TH, Selvin E, Fang M, Weiss J. 「Midlife Vascular Risk Burden and Dementia-Free Survival Years: The Atherosclerosis Risk in Communities Neurocognitive Study」Neurology Open Access 2026;2:e000152. DOI: 10.1212/WN9.0000000000000152

American Academy of Neurology「Avoiding 3 risk factors associated with living 13 more years without dementia」プレスリリース 2026年8月5日