T先生!妊娠中に卵やピーナッツを食べると、赤ちゃんの食物アレルギー予防になるの?
- 2026年9月19日
- 教えて!T先生,最近の研究,子どもの健康,女性の健康,アレルギー・リウマチ
(文末の参考文献をもとに、一部AIを用いて作成しました)
✅ この記事のまとめ
妊娠・授乳中に卵やピーナッツを増やしても、1歳時の卵・ピーナッツアレルギーを減らす効果は確認できませんでした。
お母さん自身にアレルギーなどがなければ、赤ちゃんの予防のために避ける必要もありません。
離乳は発達に合わせて生後5〜6か月頃から。湿疹や食後の症状がある子は、卵を始める前に受診を。

たろうくん
「T先生!お母さんが妊娠中に卵やピーナッツをたくさん食べると、赤ちゃんはアレルギーになりにくいの?」
T先生
「それを調べた大きな比較試験が報告されたよ。今回の試験では、赤ちゃんの卵・ピーナッツアレルギーが減るとは確認できなかったんだ。」
たろうくん
「じゃあ、効果がないってこと?」
T先生
「効果がゼロだと証明されたわけではないよ。それに、お母さんの食事と、赤ちゃん本人の離乳食は分けて考えることが大切なんだ。」
🧪 妊娠中の食事と食物アレルギー予防
T先生
「オーストラリアのPrEggNut試験だよ。妊婦さんをくじ引きのように2群に分けて、卵とピーナッツを食べる量を比べたんだ。」
📌 PrEggNut試験(NEJM 2026年)
・対象は2,137人。赤ちゃんから見て、母・父・きょうだいのうち2人以上に医師診断のアレルギー疾患がある家庭
・高摂取群は週に卵6個以上+ピーナッツ60粒以上、標準群は卵3個以下+ピーナッツ30粒以下。妊娠23週未満から産後4か月の授乳期まで続けるよう割り付け
・1歳時の卵またはピーナッツアレルギーは、高摂取群7.8%対標準群8.4%(解析2,130人)。相対リスク0.93、95%信頼区間0.69〜1.26、P=0.65。安全性の指標は両群で同程度
T先生
「統計的にはっきりした差は確認できなかったんだ。ほかの食物のアレルギーまで調べた結論ではないし、家族にアレルギーの多い家庭を対象にした結果だよ。」
たろうくん
「それなら、逆に避けたほうがいいの?」
T先生
「日本の支援ガイドや学会の指針でも、赤ちゃんの予防のために、お母さんが特定の食品を増やしたり避けたりする必要はないとしているよ。バランスよく食べよう。ただし、お母さん自身の食物アレルギーや、医師からの食事の指示がある場合は別だよ。」
T先生
「食中毒の予防も別の話。妊娠中の卵料理は、生や半熟より十分に加熱したものを選んでね。」
🍚 離乳食の卵はいつから?
たろうくん
「赤ちゃん本人が食べる時期には、関係があるの?」
T先生
「卵を早めに始める指導へ変わった前後を比べた、オーストラリアの調査もあるよ。」
📌 JAMA Pediatrics 2026年の調査
生後11〜15か月の2集団(2007〜2011年の5,276人と、2018〜2019年の1,933人)を比較。
卵を始めた月齢の中央値は8か月から6か月へ。背景の違いを統計的に調整した卵アレルギーの割合は9.2%から7.6%へ低下。
早期に湿疹があった子でも、調整後の割合は34.6%から21.9%へ低下していました。
たろうくん
「早く食べたから減ったの?」
T先生
「この調査だけでは、そう断定できないんだ。時期の違う集団だから、食べ始め以外の変化も関係するかもしれない。ただ、日本の支援ガイドでも、予防のために離乳や卵の開始を遅らせることはすすめていないよ。」
📌 日本の離乳の目安
・離乳は、首のすわりや食べ物への興味など、発達をみながら生後5〜6か月頃から
・おかゆや野菜などに慣れたら、固ゆでした卵黄などへ。新しい食品は少量から、様子をみて進めます
・湿疹や食物アレルギーが疑われる症状がある場合は、医師に相談して進めます
たろうくん
「ピーナッツも同じ方法でいいの?」
T先生
「卵の始め方を、そのまま当てはめないでね。ピーナッツの取り入れ方はかかりつけ医に相談しよう。硬い豆やナッツは、砕いたものでも気管に入る危険があるから、5歳以下には食べさせないでね。」
🩹 湿疹のある赤ちゃんは、卵を始める前に相談
たろうくん
「湿疹のある子は、どうするの?」
T先生
「学会は、アトピー性皮膚炎のある赤ちゃんでは、湿疹を治療して落ち着かせたうえで、医師の管理のもと生後6か月頃から微量の加熱した卵を始める方法をすすめているよ。すでにアレルギーがある可能性もあるから、自己判断で試さず、始める前に受診してね。」
たろうくん
「家族にアレルギーがある子も、全員その方法?」
T先生
「家族歴だけで、この提言の対象とはしないんだ。湿疹や食後の症状がなければ、通常の離乳の目安に沿って進めよう。心配なら健診で相談してね。」
🚑 食後に症状が出たときの対応
T先生
「じんましん、嘔吐、咳などが出たら食べるのをやめて、医療機関に相談してね。」
📌 緊急の症状
呼吸が苦しい、ぐったりする、繰り返し吐き続ける症状が1つでもあれば、すぐ119番で救急車を呼んでください。
エピペンを処方されている場合は、医師からの緊急時の指示に従って速やかに使用してください。
たろうくん
「血液検査で陽性なら、もう食べちゃだめ?」
T先生
「血液検査で陽性というだけでは、食べて症状が出るとは限らないんだ。でも、実際に症状が出た食品や、いま除去している食品を自宅で試してよい、という意味ではないよ。再開は主治医と決めよう。」
📝 まとめ!
✅ お母さんが増やす効果は確認できなかった
今回の試験では、1歳時の卵・ピーナッツアレルギーの明確な減少は確認されませんでした。
✅ 予防のための食物除去も不要
お母さん自身のアレルギーなどで制限が必要な場合を除き、バランスのよい食事を心がけましょう。
✅ 離乳は発達に合わせて、遅らせずに
生後5〜6か月頃が目安。湿疹や食後の症状がある子は、卵を始める前に受診してください。
✅ 検査の陽性と、食べて出る症状は別
検査だけで自己判断の除去をせず、症状が出た食品・除去中の食品の再開は主治医に相談しましょう。
たろうくん
「お母さんの食事と赤ちゃんの離乳食は、分けて考えるんだね!」
T先生
「そうだね。食事で迷ったら、一人で判断せず相談してね。」
📚 参考文献
- Palmer DJ, et al. Trial of a Maternal Diet Rich in Eggs and Peanuts to Reduce Infant Allergy. N Engl J Med. 2026;395(11):1090–1099. 原著抄録
- Koplin JJ, et al. Egg Allergy Prevalence Before and After Guidelines for Earlier Egg Introduction. JAMA Pediatr. 2026;180(9):1015–1023. 原著抄録
- 厚生労働省「授乳・離乳の支援ガイド」2019年3月、pp.19–20, 30, 32–34(現在の掲載元:こども家庭庁)
- 日本小児アレルギー学会「鶏卵アレルギー発症予防に関する提言」2017年6月16日/「小児科医向け解説」2017年10月12日
- 同学会「食物アレルギー診療ガイドライン2021」ダイジェスト版 第6章・第7章・第8章
- 消費者庁「食品による子どもの窒息・誤嚥事故に注意」2021年1月20日
- 食品安全委員会「食の安全ダイヤルQ&A(生物系物質)」卵とサルモネラの項
- 東京都健康安全研究センター「食物アレルギー緊急時対応マニュアル」2025年3月、p.3