ヘッダー画像

医療コラム

T先生!寝る前にスマホをちょっと見るだけなら、睡眠には関係ないよね?|つじファミリークリニック|大野城市東大利にある内科・ペインクリニック

T先生!寝る前にスマホをちょっと見るだけなら、睡眠には関係ないよね?

寝る前のスマホは睡眠に関係あるのか、アメリカの10代425人のスマホ使用と眠りを機械で記録した研究で、夜10時以降に多く使った夜ほど寝つきが遅かったこと、観察研究なので原因とまでは言えないこと、充電は寝室の外にするなど家族ルールの例を紹介する教えてT先生の漫画

 

(文末の参考文献をもとに、一部AIを用いて作成しました)

✅ この記事のまとめ
アメリカの10代(平均14.8歳)425人の記録で、夜10時以降にいつもより長くスマホを使った夜ほど、寝つきが遅く、睡眠が短い傾向がありました。
寝つく直前5分の使用も、寝ついた後に目が覚めている時間がわずかに長いことと関連していました。観察研究なので、スマホが原因とまでは言えません。
厚生労働省の睡眠ガイドは、デジタル機器を寝室に持ち込まないことをすすめています。何時までにするかは家族で決めましょう。


たろうくん
「T先生!近所の中学生のお兄ちゃんが『寝る前にスマホをちょっと見るくらい、眠りには関係ない』って言ってたんだ。ほんと?」

T先生
「いいところに目をつけたね。2026年10月に、10代のスマホと眠りを機械で記録した研究がアメリカで発表されたんだ。」

🔬 10代425人のスマホと眠りを「機械で」記録

📌 研究のやり方
・対象:アメリカの子どもの研究(ABCD研究)に参加した425人(平均14.8歳)
・Androidスマホに入れたアプリで、使った時間を自動で記録
・眠りはFitbitという機器で測定
・合わせて7,591夜分のデータ

T先生
「本人の記憶にたよるアンケートではなく、機械が自動で記録したデータを使っているのがこの研究の強みなんだ。」

🕙 夜10時以降に「いつもより」使った夜は?

T先生
「もうひとつ大事な工夫があってね。よく使う子と使わない子の比べ方とは分けて、同じ子の『いつもの夜』と『多く使った夜』も比べたんだ。今日紹介する数字は、こっちのほうだよ。」

たろうくん
「自分どうしで比べたってこと?」

T先生
「その通り! 家庭や性格のちがいに左右されにくい比べ方なんだよ。ただ、宿題やテスト前など、その夜ごとの事情までは消せないけどね。」

📌 夜10時以降のスマホと眠り
・夜10時以降にいつもより多く使った夜は、寝ついた時刻が平均約65分遅く、睡眠時間は平均約20分短かった(ほかの条件をそろえる前の単純な平均。夜によるばらつきは大きい)
・夜10時以降の使用が自分の平均より1分多い夜は、寝つく時刻が0.87分遅く、起きる時刻は0.37分遅く、睡眠時間は0.43分短い傾向(ほかの条件をそろえて計算)
・区切りを夜8時→12時と遅くするほど、結びつきは強かった

たろうくん
「えっ、65分も!?」

T先生
「多く使った夜は、使った時間そのものも長いんだ。1分あたりにならすと、1分多い夜は、寝つきがほぼ1分遅い夜だった、という対応だね。そして起きる時刻の遅れは寝つきより小さかったから、そのぶん睡眠時間が短い傾向になっていたんだ。」

📱 布団で「ちょっとだけ」は?

たろうくん
「近所のお兄ちゃんは『布団に入ってから5分だけ』って言ってたよ。」

📌 寝つく直前のスマホ
・寝つく直前5分の使用は、寝ついたあとに目が覚めている時間が0.74分多いことと関連していた
・その差が見られたのは、主に寝ついてから最初の30分

T先生
「1分足らずだから、差としては小さい。でも『直前の5分なら関係ない』とも言えないんだ。夜遅い時間帯の使用量と寝る直前の使用は、眠りの別々の部分に関わっていそうなんだよ。」

⚠️ スマホのせいで眠れない、と言い切れる?

たろうくん
「じゃあ、やっぱりスマホが悪者なんだね!」

T先生
「そこは慎重に考えよう。気をつけたい点が3つあるんだ。」

🔹 この研究で気をつけたい点
・記録をながめた研究(観察研究)なので、「眠れないからスマホを触っていた」という逆の流れも否定できない
・対象はアメリカの子どもで、Androidスマホの利用者だけ
・わかったのは「多く使った夜ほど寝つきが遅い」傾向で、「何分までならセーフ」という線ではない

T先生
「研究チームも『使用を減らすと眠りがよくなるかもしれない』と控えめに書いている。日本の子どもでも同じかは、まだわからないんだ。」

🇯🇵 日本の睡眠ガイドではどうなっている?

たろうくん
「日本ではどう言われてるの?」

📌 健康づくりのための睡眠ガイド2023(こども版)より
・中学・高校生は8〜10時間を参考に睡眠時間を確保する
・デジタル機器は寝室に持ち込まず、電源を切って、別の部屋に置く
・週末・休日も普段と同じ時間に起きて、日光を浴びる

たろうくん
「10時間も!? お兄ちゃん、そんなに寝てないよ。」

T先生
「ガイドには、思春期は体のリズムが夜型にずれやすく、部活や勉強、友だちづきあいでも夜ふかししやすい時期だと書いてある。本人の気合いだけの問題じゃないんだ。」

🏠 家族でルールを決めるコツ

たろうくん
「でも、お兄ちゃんちはスマホでよくケンカになるんだって。」

T先生
「僕は、取り上げるより家族で話し合って決めるのがおすすめだと思う。ガイドにも、友だちとの交流や遊びの時間を、十分な睡眠がとれるように決められるよう親が手助けするのが望ましいと書いてあるよ。」

🏠 家族ルールの決め方(例)
1. 朝起きる時刻を決め、そこからさかのぼって寝る時刻を決める
2. 寝る時刻の少し前を「スマホおしまい」にして、充電はリビングで
3. お父さん・お母さんのスマホも同じ場所で充電する

T先生
「朝6時半に起きて、目安の下限の8時間眠るなら、夜10時半には寝たい。スマホおしまいはその1時間前、夜9時半ごろだね。本人も一緒に決めた時刻のほうが守りやすいと思うよ。

それから、決めた時刻にやめても眠れない、朝どうしても起きられない、立ちくらみや頭痛がある、遅刻や欠席が増えた、気分の落ち込みが続く――そんなときは、起立性調節障害や睡眠リズムの病気、心の不調が隠れていることもある。スマホのせいと決めつけず、早めにかかりつけ医に相談してね。」

📝 まとめ!

✅ 夜10時以降に多く使った夜ほど、寝つきが遅かった
起きる時刻の遅れは小さく、睡眠時間が短い傾向でした。

✅ 寝る直前の「ちょっとだけ」にも、小さな関連があった
寝ついた後に目が覚めている時間が、1分足らず長い傾向でした。

✅ 観察研究なので「スマホが原因」とまでは言えない
眠れないから触っていた可能性も残ります。対象はアメリカのAndroid利用者です。

✅ 充電は寝室の外で。時刻は家族で決める
厚労省のガイドも、デジタル機器は寝室に持ち込まないようすすめています。


たろうくん
「近所のお兄ちゃんに教えてあげよう! ぼくも、タブレットはリビングに置いて寝るね。」 😊

T先生
「いいね。家族みんなでやってみよう。」


📚 参考文献

Zhao Y, Hale L, Christakis DA『Evening Phone Use and Sleep Outcomes Among Youth』JAMA Pediatr. Published online October 19, 2026. doi:10.1001/jamapediatrics.2026.4902(PMID 42895708)
健康づくりのための睡眠指針の改訂に関する検討会(厚生労働省)『健康づくりのための睡眠ガイド2023』2024年2月

この記事の監修

辻 隆宏(つじ たかひろ)

つじファミリークリニック 院長・医師

  • 日本プライマリ・ケア連合学会認定 家庭医療専門医
  • 日本ペインクリニック学会認定 ペインクリニック専門医
  • 日本内科学会認定 認定内科医

自治医科大学医学部卒業。八女市矢部診療所、宗像市国民健康保険大島診療所の所長として、へき地・離島の地域医療に従事。2022年6月、大野城市につじファミリークリニックを開院。