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医療コラム

T先生!しゃっくりが止まらない人ってどうやって治療するの?|つじファミリークリニック|大野城市東大利にある内科・ペインクリニック

T先生!しゃっくりが止まらない人ってどうやって治療するの?

(下記の論文を元に一部AIを用いて作成しました)
Das A, Halpin S, Kondasinghe JS. Pharmacotherapy for Chronic & Intractable Hiccups in Palliative Care: A Mixed Methods Systematic & Umbrella Review. J Pain Symptom Manage. 2026 Mar;71(3):e336-e358.

📢 T先生!しゃっくりが止まらない人ってどうやって治療するの? 🏥


たろうくん
「T先生!しゃっくりってすぐ止まるものだと思ってたけど、ずーっと止まらない人もいるって本当?どうやって治すの?」

T先生
「いい質問だね!実はね、48時間以上続くしゃっくりを”慢性しゃっくり”、1ヶ月以上続くものを”難治性しゃっくり”って呼ぶんだ。これが緩和ケアの患者さん、つまりがんなどの重い病気の終末期にある人たちにとって、本当につらい症状なんだよ 😔」


🧠 そもそも、どれくらいの人がなるの?

T先生
「ホスピスに入院している患者さんの1.1%にしゃっくりがあって、亡くなる直前にはその割合が1.8%まで上がるという大規模な多施設研究があるよ。イタリアの緩和ケアの調査では3.9〜4.5%。さらに抗がん剤を使っている人だと16%、特にシスプラチンなどの白金系の薬を使うと最大42%にまで跳ね上がるんだ 📊」

たろうくん
「えっ!42%!?そんなに多いんだ…!しかも止まらないって、すごく大変だね…」

T先生
「そうなんだ。男性であること、年齢が高いこと、体重が重いことがリスク要因として知られているよ。しゃっくりが止まらないと、痛み、疲労、重度の心理的苦痛を引き起こすんだ」


💊 どんな薬が使われているの?

T先生
「2026年に発表された最新の混合研究法系統的レビュー(Das et al., J Pain Symptom Manage 2026)では、88件の一次研究と6件のシステマティックレビューを統合して分析しているよ。合計156人の患者データを集めた結果、主に使われている薬をランキング形式で紹介するね 📋」

たろうくん
「うん!教えて教えて!」

T先生
「まず第一選択薬として有望なのは2つ!」

🥇 ガバペンチン(Gabapentin)
・最も多く報告された薬(50人
・用量は1日300〜1200mg(最多は300mg×3回)
90.2%の患者で少なくとも部分的に改善
・効果発現は通常24〜48時間と速い

🥈 バクロフェン(Baclofen)
30人に使用
・用量は1日5〜60mg(5〜15mg×3回が一般的)
90%で完全消失を達成
・他の薬が効かなかった後でも47%が48時間以内に反応
・準実験的研究では45名全員が3日以内に「完全 or 部分的改善」

たろうくん
「へぇ〜!結構効くんだね!他にはどんな薬があるの?」

T先生
「他にも色々あるよ!」

🔹 クロルプロマジン — FDA唯一の承認薬。15人中12人(80%)で完全消失。ただし副作用が問題
🔹 ハロペリドール — 5人中4人で完全消失。2〜8剤失敗後の後方支援として
🔹 ミダゾラム — 持続鎮静として使用。効果発現が10分〜1時間と非常に速い
🔹 ステロイドローテーション(デキサメタゾン中止→別のステロイドに変更) — 7人中6人で完全消失
🔹 リドカイン(経口or持続皮下注) — 6人中2人で完全消失
🔹 ニフェジピン(Ca拮抗薬) — 4人中3人で完全消失
🔹 メチルフェニデート — 2例ともに完全消失、効果発現1時間以内
🔹 ネフォパム(IV注射) — 2例ともに5分以内で完全消失!
🔹 酢(鼻腔内/経口) — 15秒〜15分で効果あり
🔹 ペパーミント吸入 — 30分で部分的改善


😢 患者さんの本当のつらさ

T先生
「でもね、ここがとても大事なところなんだけど…数字だけ見ると”90%以上効く”ように見えるけど、現実はもっと厳しいんだ 😣」

たろうくん
「え?どういうこと?」

T先生
「この研究の画期的なところは、患者さんや医療者の”声”も集めた質的研究を統合しているところなんだ。そこから見えてきた4つの大事なテーマがあるよ」

📌 テーマ1:予測不能な苦しみと絶望
患者さんは「しゃっくりより悪いものはない」と語り、家族も一緒に苦しんでいる。ストレス・不安(70%)、疲労(70%)、睡眠障害(60%)が報告されている

📌 テーマ2:現在の治療の無力さ
医療者の18%が治療に不満。「半分以下しか効かない」「効いても副作用がひどい」という声

📌 テーマ3:患者と医療者の認識のギャップ
がん患者のしゃっくり有病率は15〜40%なのに、過去6ヶ月で10人以上診た医療者は20%未満

📌 テーマ4:患者自身の適応戦略——「緩和的コントロール」へ
患者さんは「治す」ことを諦め、「しゃっくりの間の”休止”をコントロールする」技術を自分で編み出した。1分間に約4回(15秒間隔)まで減らせれば、日常生活ができるという


🔬 この研究のココがすごい!

T先生
「この研究は、ただ薬の効果を並べるだけじゃなくて、“治癒”から”緩和的コントロール”へ目標を転換すべきという重要な提言をしているんだ。つまり、完全にしゃっくりを止めることではなく、食べる・寝る・話すといった”機能的な改善”を目指そうということだね ✨」

たろうくん
「なるほど…!完全に止めるんじゃなくて、”うまく付き合う”ことが大事なんだね」

T先生
「その通り!そしてこの論文では段階的な治療アルゴリズムも提案しているよ」

🔸 Step 1: 原因の治療(電解質補正、逆流性食道炎の治療)+迷走神経刺激法+原因薬の見直し
🔸 Step 2: 第一選択薬の単剤投与(ガバペンチン or バクロフェン
🔸 Step 3: 複数の受容体を標的とした併用療法(専門的緩和ケアへ相談)
🔸 Step 4: 緩和的鎮静(ミダゾラム等 — 最終手段)


📝 まとめ!

慢性しゃっくり(48時間以上)は緩和ケアにおいて深刻な症状。有病率は1.1〜42%と状況により大きく変動
ガバペンチン(300mg×3回/日)とバクロフェン(5〜15mg×3回/日)が第一選択薬として最も有望
エビデンスのほとんどは症例報告レベルであり、RCTはたった1件(メトクロプラミド vs プラセボ)しかない
「完全な治癒」ではなく「緩和的コントロール」に目標を転換すべき——食べる・寝る・話すなどの機能回復を重視
患者さんの”声”を聴くことで、出版バイアスに歪められた数値データの限界が明らかになった


たろうくん
「なるほど!ただ薬を出すだけじゃなくて、患者さんが”どう生きたいか”を一緒に考えることが大事なんだね!」 😊

T先生
「まさにそれが緩和ケアの心だよ。いつでも聞いてね!」 🩺