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医療コラム

T先生!慢性脊椎痛の治療方法について教えて!|つじファミリークリニック|大野城市東大利にある内科・ペインクリニック

T先生!慢性脊椎痛の治療方法について教えて!

(下記の論文を元に一部AIを用いて作成しました)

Busse JW, Genevay S, Agarwal A, Standaert CJ, Carneiro K, Friedrich J, Ferreira M, Verbeke H, Brox JI, Xiao H, Virdee JS, Gunderson J, Foster G, Heegsma C, Samer CF, Coen M, Guyatt GH, Wang X, Sadeghirad B, Malam F, Zeraatkar D, Vandvik PO, Zhou T, Xie F, Siemieniuk RAC, Agoritsas T. Commonly used interventional procedures for non-cancer chronic spine pain: a clinical practice guideline. BMJ. 2025 Feb 19;388:e079970. doi: 10.1136/bmj-2024-079970. PMID: 39971339.


📌 慢性脊椎痛って何?

たろうくん
「T先生、最近おじいちゃんが腰が痛いって言ってるんだ。3ヶ月以上も続いているみたい。これって慢性脊椎痛っていうのかな?どんな病気なの?」

T先生
「そうだね、たろうくん。3ヶ月以上続く背中や首、腰の痛みは 慢性脊椎痛 と呼ばれているよ。これは世界中でとても多くの人が経験している状態なんだ。」


🌍 慢性脊椎痛はどれくらい多いの?

たろうくん
「へえ〜そんなに多いの?どのくらいの人が慢性脊椎痛になるの?」

T先生
「例えば、慢性腰痛は 24〜39歳の大人の約4%、20〜59歳の大人の約20% が経験するんだ。高齢者ではもっと多いかもしれないよ。

実は 腰痛は世界で最も多い障害の原因 になっているんだ。
さらに 首の痛み も同じく多くて、生活に支障をきたす原因の 3番目 に多いんだよ。」

たろうくん
「うわ、そんなに大変なんだ!」


🤔 慢性脊椎痛の原因は?

たろうくん
「でもどうして背中が痛くなるの?」

T先生
「実はね、ほとんどの慢性脊椎痛(約 85%)は 特定の原因が見つからない ことが多いんだ。

レントゲンやMRIといった検査をしても、症状と画像所見が必ずしも一致しないこともあるんだよ。

たとえば、痛みのない人でも画像に異常が見つかる ことがあるし、逆に 痛みがあるのに画像には異常がない こともあるんだ。」


💉 注射や処置は効果があるの?

たろうくん
「じゃあ、おじいちゃんの痛みを治すにはどうすればいいの?注射とか何かすごい治療があるって聞いたけど。」

T先生
「そうだね、脊椎痛に対して 神経ブロック注射や高周波熱凝固法 などの処置を行うことがあるんだ。でも、最近の研究によると、これらの処置は思ったほど効果がないかもしれない という結果が出ているんだよ。」


📚 どんな研究があるの?

たろうくん
「へぇ〜そんなにたくさん研究してるんだね!どこの国が研究をおこなったの?」

T先生
「この論文は国際的な研究グループによるもので、BMJ(ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル) に2025年に掲載されたんだよ。

筆頭著者の Jason W. Busse さんは カナダのマクマスター大学 の研究者で、スイス、アメリカ、ノルウェー、中国 など世界中の専門家と一緒に研究したんだ。」


📊 研究の結果は?

たろうくん
「なるほど!いろんな人の意見を聞いて研究したから、しっかりした結果なんだね!で、結果はどうだったの?」

T先生
「研究結果によると、慢性腰痛や首の痛みに対して、これらの注射治療はプラセボ(偽薬)と比べて、痛みの軽減効果があまり見られなかった んだ。

例えば、10cmのものさしで痛みを測ると

  • 硬膜外の局所麻酔薬とステロイドの注射は、偽の治療と比べて 0.23cm しか改善しなかったんだよ。」

たろうくん
「え?そんなに効果ないの?でもよく病院でやってる治療だよね?」


🤯 思い込みの影響もある?

T先生
「そうなんだ。高周波熱凝固法についても、実は 医師が治療効果を知っている場合と知らない場合で結果が違った んだ。

  • 医師が治療効果を知っている場合 → 1.74cm 痛みが減った
  • 医師も患者も効果を知らない公平な試験0.23cm しか効果がなかった

つまり、思い込みの影響が大きい 可能性があるんだ。」


⚠️ 副作用のリスク

たろうくん
「じゃあ、思ってるほど効かないってこと?副作用とかはあるの?」

T先生
「そうだね。それに加えて、これらの治療には 副作用のリスク もあるんだ。

例えば…

  • 深部感染 → 0.7%
  • 硬膜穿刺 → 1.4%
  • 48時間以上続く痛みや硬さ → 8.6%
  • 一時的な意識レベルの変化 → 2.1%
  • とても稀だけど、麻痺などの重大な合併症も報告されている

効果が少ないのに、リスクがあるのは考えものだね。」


💰 なぜ今でも行われているの?

たろうくん
「うーん、効果が少ないのに副作用のリスクがあるんだね。じゃあどうしてお医者さんはそういう治療をするの?」

T先生
「これまでは効果的だと言われていたこともあるからね。

そして 国によっては、この治療に大きなお金が支払われる んだ。

例えば…

  • アメリカ では
    • 硬膜外ステロイド注射 → 1000ドル(約15万円)
    • 高周波熱凝固法 → 6000ドル(約90万円)

お金の影響で、今でも使われ続けている可能性もあるんだよ(※①)」


🏃‍♂️ じゃあ、どうすればいいの?

たろうくん
「じゃあ、おじいちゃんにはどんな治療法がいいの?」

T先生
「まず大事なのは、がんや炎症性の関節炎が原因でないか確認すること だね。

そうでなければ、最新の研究では運動療法や認知機能療法が効果的 かもしれないよ。

おじいちゃんには、まず 医師に相談してもらって、適切な治療方法を選んでもらう のがいいと思うよ。」

たろうくん
「わかった!おじいちゃんには 医者に相談 して、できれば 運動療法や副作用が少ない治療 を試してみるように言ってみるよ!ありがとう、T先生!」

T先生
「どういたしまして、たろうくん。おじいちゃんが良くなるといいね!」


📝 まとめ

慢性脊椎痛はとても多い!(特に高齢者に多い)
85%のケースでは、特定の原因が見つからない!(画像検査と痛みは一致しないことも)
注射や処置の効果は思ったより小さい!(プラセボとほぼ変わらない場合も)
副作用のリスクがある!(感染、麻痺など)
運動療法や認知機能療法が有効かも!(医師と相談しよう)

 

※①

日本での硬膜外ブロック注射は、3,000円~5,000円程度(3割負担)です。

また高周波熱凝固法は、場所にもよりますが数千円程度です。