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医療コラム

T先生!「男性ホルモンを足せば元気になる」って本当?|つじファミリークリニック|大野城市東大利にある内科・ペインクリニック

T先生!「男性ホルモンを足せば元気になる」って本当?

📢 T先生!「男性ホルモンを足せば元気になる」って本当? 🏥

(下記の論文を元に一部AIを用いて作成しました)
Kerniss H, et al. Off-label testosterone therapy is associated with higher long-term cardiovascular risk in men. eBioMedicine. 2026;130:106373(オンライン公開 2026年7月9日). PMID: 42424704 / PubMed

この記事のまとめ
テストステロン(男性ホルモン)を、「低い」という裏づけがないまま使うと、心臓や血管の病気・死亡が多いという大規模データが出ました。
実際に治療を始めた人の3人に1人以上に、症状や検査値といった裏づけの記録がありませんでした。
「疲れやすい」「元気が出ない」の原因はホルモン以外にも多く、まず確かめる順番が大切です。


たろうくん
「T先生!お父さんが『つかれやすいのは男性ホルモンが減ったせいかも』って言ってたんだ。ホルモンって、足せば元気になるの?」

T先生
「そこはね、足す前に”本当に減っているのか”を確かめるかどうかで、話がまるごと変わるんだよ。今年7月に、それをはっきり示す研究が出たんだ。」


🔬 この研究、何と何を比べたの?

T先生
「ここを間違えると意味が正反対になるから、先に説明させてね。」

📌 研究のかたち(eBioMedicine 2026)
・世界123の医療機関の電子カルテを使った後ろ向きの調査
・30〜75歳でテストステロン治療を始めた358,957人を分析
・そのうち127,152人(35.4%)は、症状や検査値といった「ホルモンが低い」という裏づけの記録がなかった
・条件をそろえた113,554組を、最長10年追跡して比較
※症状が1つ以上あるか、総テストステロン300ng/dL以下(または遊離60pg/mL以下)を「裏づけあり」としている

たろうくん
「えっ、3人に1人以上が、低いっていう記録がないまま始めてたの!?」

T先生
「そうなんだ。そしてこの研究が比べたのは、“薬を使った人”と”使わなかった人”じゃない。どちらもテストステロンを使っている人どうしで、“低いという裏づけがある人”と”ない人”を比べているんだよ。」

たろうくん
「じゃあ、薬そのものが悪い話じゃないんだね。」

T先生
「その通り!“確かめる工程を飛ばすこと”のリスクを見た研究なんだ。ただ、カルテに記録がないだけでよその病院で調べていた人も混じりうる。そこは含んで読んでね。」


📊 どのくらい差があったの?

📌 最長10年の追跡(裏づけがない人 vs ある人)
・心筋梗塞・脳梗塞・心停止・死亡をあわせた重大な出来事:16.53% 対 11.83%(ハザード比 1.51/95%信頼区間 1.45〜1.56)
・すべての原因による死亡:ハザード比 1.90(1.79〜2.00)
・心不全 1.32/心停止 1.41/脳梗塞 1.23

たろうくん
「死亡が1.9倍って…かなり大きい数字だね。」

T先生
「大きいね。でも、ここは慎重に読んでほしいんだ。これは観察研究といって、実際に薬を割りふって比べた試験じゃない。裏づけなしに始める人は、もともと生活習慣や持病のパターンが違う可能性がある。だから『使ったから1.9倍になる』と言い切れる研究ではないんだよ。それに人種や民族によって差の大きさが違っていたとも報告されていて、日本人だけを対象にした研究でもないんだ。」


🤔 「元気が出ない」の原因は、ホルモンだけじゃない

T先生
「疲れやすい、やる気が出ない、性欲が落ちた——こういう症状はね、男性ホルモンが減っても起きるけれど、ホルモン以外の原因が見つかることも多いんだ。」

📌 診察でまず考える”元気が出ない”の原因
・睡眠時無呼吸(いびき・日中の眠気があれば要チェック)
・うつや不安、慢性的な睡眠不足
・甲状腺の機能低下、貧血、糖尿病

たろうくん
「ホルモンより先に調べることがあるんだ!」

T先生
「そう。『男性更年期かも』と来られた方が、調べてみたら睡眠時無呼吸だったということは珍しくないんだ。無呼吸なら治療で本当に元気になる。順番を飛ばすと、治せるものを見逃してしまうんだよ。」


💡 だから、こうしよう

① まず採血と問診から。 朝の時間帯の血液検査に加え、睡眠・気分・甲状腺・貧血・血糖を一度に確認する。

② ネットのサプリや個人輸入の注射には手を出さない。 今回の研究が見たのは医療機関で処方された治療だけれど、そこですら裏づけの有無で差が出た。確かめる工程がまるごと無い個人輸入は、なおさら勧められない。

③ 今すでに治療中の人は、自己判断でやめない。 低いと確認されて治療を受けている人まで否定する研究ではない。心配なら主治医に相談を。


📝 まとめ!

問題は薬ではなく「確かめない順番」
この研究は、テストステロンを使う人どうしで「低いという裏づけがある人/ない人」を比べたもの。薬そのものの善悪を見た研究ではない。

裏づけなしの人は3人に1人以上
治療を始めた358,957人のうち35.4%に、症状や検査値といった裏づけの記録がなかった。

最長10年でみた差は小さくない
重大な出来事は16.53%対11.83%(1.51倍)、死亡は1.90倍。ただし観察研究なので「因果」ではなく「関連」。人種・民族で差の大きさも違っていた。

「元気が出ない」は他の病気のサインかもしれない
睡眠時無呼吸・うつ・甲状腺・貧血・糖尿病。治せる原因を見逃さないために、ホルモンを足す前に調べる。

迷ったら、まずかかりつけ医に
サプリや個人輸入に進む前に、一度採血を。それだけで景色が変わることがあります。


たろうくん
「お父さんに『まず病院で調べてもらってね』って言ってみる!」 😊

T先生
「うん、それがいちばんいい伝え方だね。」


⚠️ 受診の目安
いびきや日中の強い眠気、朝すっきり起きられない、長引くだるさ——こうした場合は、ホルモンの前に調べたほうがよいことがあります。当院でも睡眠時無呼吸の検査や血液検査を行っています。お気軽にご相談ください。

📚 参考文献

Kerniss H, Curman P, Olbrich H, Kridin K, Francis R, Leistner DM, Alam U, Ludwig RJ. Off-label testosterone therapy is associated with higher long-term cardiovascular risk in men. eBioMedicine. 2026;130:106373(オンライン公開 2026年7月9日). PMID: 42424704