T先生!犬アレルギーでも犬と一緒に暮らすには?
- 2025年6月24日
- 教えて!T先生,最近の研究,アレルギー・リウマチ
📢 T先生!犬アレルギーでも犬と一緒に暮らすには? 🐕
たろうくん
「T先生!うちのお母さんの友達が、犬を飼い始めたら蕁麻疹が出るようになったんだけど、検査したら犬アレルギーだったんだって。それでも犬は家族だから手放したくないって言ってるよ。どうしたらいいの?」
T先生
「それは心配だね。でも実は、犬アレルギーを抱えながら犬と暮らしている人は決して珍しくないんだよ。韓国で行われた調査では、成人の犬の飼い主の約4人に1人(25%)が犬アレルギーを持ちながらも飼育を続けていたというデータがあるんだ。」
たろうくん
「え!そんなにたくさんの人が?じゃあ、なんとか一緒に暮らす方法があるってことだよね!」
🔬 犬アレルギーの原因って何?
T先生
「まず、犬アレルギーがなぜ起きるのかを知っておこう。主な犯人はCan f 1っていうタンパク質なんだ。」
たろうくん
「カン・エフ・ワン?変な名前だね!それってどこにあるの?」
T先生
「このタンパク質は、犬のふけ(皮膚の剥がれ片)、唾液、尿に含まれているんだ。人間の体がこのCan f 1を『異物だ!』って判断すると、IgE抗体っていう体を守る仕組みが働いて、蕁麻疹や鼻水といったアレルギー症状が出るんだよ。」
たろうくん
「なるほど!じゃあ、そのCan f 1を減らせば症状も軽くなるってこと?」
T先生
「その通り!完全に無くすことはできないけど、減らすことで症状をコントロールできるんだ。」
🏠 お家の環境を整える方法
たろうくん
「具体的にはどうすればいいの?」
T先生
「いくつかのポイントがあるよ。まず一番大切なのは、寝室には犬を入れないことなんだ。」
たろうくん
「えー!でも一緒に寝たいよね…」
T先生
「気持ちはわかるよ。でも、アメリカのアレルギー学会も『寝室からペットを締め出すと症状軽減につながる』って勧めているんだ。人は1日の3分の1を寝室で過ごすから、その空間だけでもアレルゲンを少なくするのが最優先なんだよ。」
たろうくん
「そっか…他にはどんな方法があるの?」
T先生
「HEPAフィルターっていう特別なフィルターを使うのも効果的だよ。これは0.3マイクロメートルの小さな粒子を99.97%も除去してくれるんだ。空気清浄機だけじゃなくて、掃除機もHEPA対応のものを選ぶといいね。」
たろうくん
「へぇ〜!それってすごく小さい粒子まで取れるんだね!」
T先生
「そうなんだ。それから、犬のシャンプーを週に1〜2回するのも大事だよ。研究では、週2回洗うと犬の毛に付いているCan f 1が大幅に減って、空気中の濃度も下がることがわかっているんだ。」
たろうくん
「犬も清潔になるし、アレルギーも軽くなるなんて一石二鳥だね!」
T先生
「ただし、洗いすぎると犬の皮膚が乾燥しちゃうから、低刺激のシャンプーを使ってあげてね。それから、お家の床も大事なポイントなんだ。」
たろうくん
「床?なんで床が関係あるの?」
T先生
「実は、カーペットより硬いフローリングの方がアレルゲンの濃度が低いっていう研究結果があるんだ。カーペットにはふけが溜まりやすいからね。もしカーペットを使いたいなら、洗えるラグにするといいよ。」
🧹 お掃除と換気のコツ
たろうくん
「お掃除も普通にやればいいの?」
T先生
「HEPA掃除機で週に2〜3回掃除して、拭き掃除も一緒にやると効果的だよ。それから、窓を開けて1日2回、10分ずつ換気するのも忘れずにね。」
たろうくん
「犬のブラッシングはどうすればいいの?」
T先生
「ブラッシングの時は大量のふけが舞い上がるから、屋外かベランダでマスクを付けてやるのがベストだね。できれば、アレルギーじゃない家族の人にお願いできるといいよ。」
たろうくん
「なるほど!いろんな対策を組み合わせるのが大事なんだね!」
💊 お薬での治療法
T先生
「環境を整えても症状が辛い時は、お薬の力も借りよう。第二世代抗ヒスタミン薬っていうお薬が基本になるんだ。」
たろうくん
「それってどのくらい効くの?」
T先生
「約40〜60%の人で蕁麻疹や鼻炎などが十分コントロールできるっていうデータがあるよ。昔のお薬と違って眠くなりにくくて、長時間効果が続くんだ。」
たろうくん
「他にも治療法があるの?」
T先生
「**アレルゲン免疫療法(AIT)**っていう、少しずつ体をアレルゲンに慣らしていく治療もあるよ。50〜70%の患者さんが中程度から大幅に改善するんだけど、3〜5年かけてゆっくり行う治療なんだ。」
たろうくん
「時間はかかるけど、効果は高いんだね!」
T先生
「ただし、日本では犬アレルゲンの治療薬がまだ承認されてないから、自費診療になっちゃうんだ。施行できる病院も限られているから、専門医に相談が必要だね。」
🌟 毎日の生活で気をつけること
たろうくん
「普段の生活で気をつけることってある?」
T先生
「犬を触った後は必ず石けんで手を洗うこと。それから、犬に顔や目を舐めさせないようにしようね。」
たろうくん
「あ、うちの犬もよく顔を舐めてくるよ!」
T先生
「気持ちはわかるけど、アレルギーの人には要注意なんだ。それから、犬を触った後の服に付いたふけを寝室に持ち込まないよう、帰宅後すぐに着替えるのも大事だよ。」
たろうくん
「他にも何かある?」
T先生
「十分な睡眠とストレス管理も実はとても重要なんだ。実験では、精神的ストレスを与えた後の皮膚テストで膨疹が75%も大きくなったっていう報告もあるからね。」
たろうくん
「へぇ〜!ストレスもアレルギーに関係するんだ!」
T先生
「そうなんだ。だから、犬のことでストレスを溜めすぎないよう、『完璧に0にする』じゃなくて『減らしてコントロールする』って考え方が大切だよ。」
📝 まとめ!
✅ 寝室はペット立ち入り禁止!まずは睡眠空間を守ろう!
✅ HEPAフィルター付きの空気清浄機と掃除機で微細なふけを除去!
✅ 犬の週1回以上のシャンプーと屋外でのブラッシングで発生源をコントロール!
✅ 第二世代抗ヒスタミン薬を基本に、必要に応じて免疫療法も検討!
✅ 複数の対策を組み合わせて、ストレス管理と症状の観察を続ける!
たろうくん
「すごくよくわかった!要は『完璧を目指さず、できることを組み合わせて症状を軽くする』ってことだね!」
T先生
「その通り!できる対策を組み合わせて、自分の症状がどう変わるかを確認しながら進めていこう。そして、症状が強い時や薬の調整が必要な時は、早めに専門医に相談してね。犬も人も快適に暮らせる方法はきっと見つかるよ🐾」
たろうくん
「ありがとう、T先生!お母さんの友達にも教えてあげる!犬と一緒に幸せに暮らせるといいな!」😊
参考文献
- Yang MS, et al. “Dog and Cat Allergies and Allergen Avoidance Measures in Korean Adult Pet Owners.” Allergy Asthma Immunol Res. 2018;10(2):155‑159. [PubMed]
- American Academy of Allergy, Asthma & Immunology (AAAAI). “Pet Allergy – Tips to Reduce Symptoms.” Accessed 2024. [Web]
- United States Environmental Protection Agency (EPA). “What is a HEPA filter?” 2024. [Web]
- Green R, et al. “Washing the dog reduces dog allergen levels, but the dog needs to be washed twice a week to maintain the reduction.” Clin Exp Allergy. 1999;29(5):574‑579. [PubMed]
- Doekes G, et al. “Dust from carpeted and smooth floors.” 1994;49(6):498‑505. [Wiley]
- Sánchez‑Borges M, et al. “Current and Emerging Therapies for Chronic Spontaneous Urticaria.” J Allergy Clin Immunol Pract. [PMC]
- Wedi B, et al. “Guideline on Allergen Immunotherapy in IgE‑Mediated Allergic Diseases.” Allergo J Int. [PMC]
- Kiecolt‑Glaser JK, et al. “How stress and anxiety can alter immediate and late phase skin test responses to an allergen.” 2009;34(4):670‑680. [PubMed]