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医療コラム

T先生!歯を何本か失うと、心臓の病気になりやすくなるの?|つじファミリークリニック|大野城市東大利にある内科・ペインクリニック

T先生!歯を何本か失うと、心臓の病気になりやすくなるの?

📢 T先生!歯を何本か失うと、心臓の病気になりやすくなるの? 🦷

(文末の参考文献をもとに、一部AIを用いて作成しました)

この記事のまとめ
40〜64歳の約55万人を5年以上追った東北大学の研究で、歯を1本も失っていない人と比べ、失った歯が 4本の人は循環器疾患のリスクが1.09倍27本の人で1.21倍 でした。
本数が増えるほどリスクは上がっていきますが、上がり方がいちばん急なのは最初の1〜4本。「まだ数本だから平気」は成り立ちません。
ただし「歯を守れば心臓病が防げる」と証明された研究ではなく、入れ歯などで補ったかどうかも調べていません。歯を失うことは体からのサイン として受け止めるのが正解です。


たろうくん
「T先生!歯を何本か失うと心臓の病気になりやすくなるって聞いたんだけど、ほんと? 歯と心臓って、場所が全然ちがうよね」

T先生
「いい質問だね。実はこの夏、まさにそれを調べた大きな研究が出たんだ。東北大学のグループが、健康保険組合と自治体から集めた 40〜64歳の匿名レセプトと特定健診データ551,386人分 を、5年以上追いかけて解析したんだよ」

たろうくん
「55万人!? すごい数だね」


🦷 失った歯が増えると、心臓・血管の病気も増える

T先生
「調べたのは、追跡開始時点で歯を何本失っていたか と、そのあと循環器の病気になったか。心筋梗塞などの虚血性心疾患や、脳卒中などのことだよ」

📌 失った歯の本数と循環器疾患のリスク(東北大学・n=551,386)
※どちらも 歯を1本も失っていない人と比べた場合
🦷 4本失っている人 → 1.09倍(推定の幅 1.05〜1.14倍)
🦷 27本失っている人 → 1.21倍(推定の幅 1.08〜1.37倍)

たろうくん
「入れ歯にしてる人はどうなの?」

T先生
「そこは正確に押さえておきたいところだね。この研究が見ているのは『失った歯の本数』だけ で、入れ歯やブリッジで補ったかどうかまでは調べていないんだ。だから『抜けたまま放置すると危ない』とも、『入れ歯にすれば大丈夫』とも、この研究からは言えないんだよ」

たろうくん
「えっ、27本ってほとんど全部だよね……。それで1.21倍って、思ったより増えてない気がする」

T先生
「その感覚は大事だよ。実際、この年代の循環器疾患の発症率は 100人を1年みて0.70件 くらい。ざっくり言えば1000人に7人ほどだ。その1.09倍だから、増える分そのものはごくわずかなんだ。——でもね、ここがこの研究のいちばん大事なところなんだ」


📊 いちばん急に上がるのは「最初の4本」

T先生
「グラフの形が、まっすぐな坂じゃないんだよ。最初が急で、そのあとゆるやかになる。研究チームが強調しているのも、上がり幅がいちばん大きかったのは喪失歯1〜4本の範囲 という点なんだ」

たろうくん
「どういうこと?」

T先生
「ちょっと計算してみようか。これは論文に書いてある計算じゃなくて、僕が数字から出した目安だけどね。27本失った人の上がり幅は21%、4本の人は9%だよね。もしまっすぐな坂なら、4本の時点は27分の4だから15%くらいのはず。ところが実際は 9÷21で4割強 まで来ているんだ」

たろうくん
「えっ、4本で4割!? じゃあ『まだ数本だから大丈夫』が、いちばん油断しちゃダメなんだ」

T先生
「そうだね。ただ、失う本数が増えればリスクは上がっていく。27本の人のほうが推定値は高いよ。もっとも27本の推定は幅が広くて(1.08〜1.37倍)、4本の人との差がはっきり示されたとまでは言えないけどね。急なのは最初、でも坂はずっと続く——そう覚えてほしいな」


🤔 「80歳で20本」は、体の安全ラインじゃない

たろうくん
「でもさ、『8020運動』って聞いたことあるよ。20本あればいいんじゃないの?」

T先生
「よく知ってるね。厚生労働省と日本歯科医師会の『80歳になっても自分の歯を20本以上保とう』という運動だ。20本あればほとんどの食べ物を噛める から、噛む力の目安としては良い基準だよ。でもね、研究チームはこう書いている。全身の健康という観点では『20本以上』というはっきりした境目は存在しないかもしれない と」

たろうくん
「20本を割った瞬間に危なくなるんじゃなくて、少ない本数のうちからもう始まってるってことか」


🩸 でも、なんで口の中の話が血管の話になるの?

T先生
「研究チームが書いているのは、歯の喪失は歯周病や虫歯の状態を反映している可能性がある ということ。失った歯の数は、それまでの口の中の記録 なんだね。——ここから先は今回の研究の範囲外だけど、歯周病は歯ぐきでくすぶる慢性の炎症だから、それが動脈硬化に関わるのでは、とも考えられているよ。ただしこれはまだ仮説の段階だ」

たろうくん
「抜けたこと自体より、その手前で何かが起きてたってことか」

T先生
「うん。ただ、ここは慎重に言わせてね。この研究は『歯を失うと心臓病になる』と原因を証明したものではないんだ。喫煙や糖尿病 は、歯を失う原因にもなるし循環器の病気の原因にもなる。こうした要因を統計的に調整しても、取り切れない影響が残っている 可能性はあるんだよ」

たろうくん
「歯医者に行けば心臓病を防げる、とは言い切れないんだね」

T先生
「そこは正直に言うべきだね。だから僕は、歯の喪失を体からのサインとして受け取ってほしい。歯が減ってきたなら、血圧やコレステロール、たばこや血糖もあわせて見直すきっかけにしてほしいんだ」


🪥 じゃあ、今日から何をすればいい?

T先生
「歯を失う原因は歯周病と虫歯だから、そこを防げばいい。研究チームがエビデンスが確立された方法として挙げているのは、この4つだよ」

🔹 フッ化物の応用
🔹 禁煙
🔹 砂糖摂取の制限
🔹 プラークコントロール(毎日の歯みがき・フロス・歯間ブラシ+歯科医院でのクリーニング)

たろうくん
「フッ化物の応用って?」

T先生
「いちばん身近なのはフッ素入りの歯みがき粉を使うこと。ほかにフッ化物の洗口液や、歯科医院で歯に塗ってもらう方法もあるよ。——どれも真新しいことは一つもないだろう? でも 禁煙は歯にも血管にも効く から特に大きいよ。それにね、今回の研究の対象は40〜64歳。歯科が後まわしになりやすい、働きざかりの世代なんだ」

たろうくん
「痛くなくても行っていいの?」

T先生
「むしろ痛くないうちがいいんだ。歯周病は自覚症状が出にくいからね。高血圧や糖尿病で当院に通っている方も、歯科の定期受診をセットにしてほしい。気になることは診察のときに聞いてね」


📝 まとめ!

失った歯が4本で1.09倍、27本で1.21倍
40〜64歳の約55万人を5年以上追った東北大学の研究。歯を1本も失っていない人との比較(推定の幅はそれぞれ1.05〜1.14倍、1.08〜1.37倍)。

上がり方がいちばん急なのは「最初の1〜4本」
1.09倍と1.21倍から計算すると、4本の時点で27本の人の上がり幅の4割強。ただし本数が増えればリスクは上がっていく。

「20本以上」は噛む力の目安で、体の安全ラインではない
全身の健康でははっきりした境目がないかもしれない、と研究チームは述べている。

原因と証明された話ではない/入れ歯の有無も調べていない
喫煙や糖尿病など、両方につながる要因もある。見ているのは「失った歯の本数」だけで、補綴の有無は評価されていない。

できることは4つ。特に禁煙は歯にも血管にも効く
フッ化物・禁煙・砂糖を控える・プラークコントロール。痛くないうちの歯科受診が確実。


たろうくん
「最初の数本がいちばん大事だったなんて、思ってもみなかったよ。歯みがき、ちゃんとする!」 😊

T先生
「その気持ちがいちばんの予防だよ。いつでも聞いてね」


📚 参考文献

Kusama T, Tamada Y, Miyano T, Maeda M, Oda F, Osaka K, Fukuda H, Takeuchi K. 「Non-linear association between tooth loss and cardiovascular diseases among middle-aged adults」Journal of Periodontology 2026(オンライン公開 2026年7月12日). DOI: 10.1002/jper.70167

東北大学「中高年層における歯の喪失本数と循環器疾患の関連を明らかに ―1〜4本の喪失でも、循環器疾患リスクが上昇―」プレスリリース 2026年7月15日