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医療コラム

T先生!睡眠薬を何年も飲んでいるけど、やめたほうがいいの?|つじファミリークリニック|大野城市東大利にある内科・ペインクリニック

T先生!睡眠薬を何年も飲んでいるけど、やめたほうがいいの?

睡眠薬を何年も飲んでいる人に向けて、長く飲むとやめにくくなることや転倒への注意、自分の判断でやめずに主治医と一緒に少しずつ減らすこと、新しいタイプの睡眠薬の研究の受け止め方、お薬手帳を持って相談することを紹介する教えてT先生の漫画

 

(文末の参考文献をもとに、一部AIを用いて作成しました)

✅ この記事のまとめ
広く使われている睡眠薬(ベンゾジアゼピン系など)は、長く飲むうちに体が薬のある状態に慣れてやめにくくなることがあり、高齢の方ではふらつきや転倒にも注意が必要です。
ただし自分の判断で減らしたり、やめたりするのは危険です。
続けるか減らすかは主治医と相談し、減らすときは主治医と一緒に、時間をかけて少しずつ進めます。


たろうくん
「T先生!おじいちゃんが『この眠り薬、もう15年飲みよるけど、やめたら眠れんごとなるやろか』って心配してたんだ。何年も飲んでて大丈夫なの?」

T先生
「そう心配になるのは自然なことだね。今日は、長く飲んでいる睡眠薬との付き合い方を一緒に考えよう。」

💊 睡眠薬を何年も飲むと、体に悪いの?

T先生
「睡眠薬にはいくつか種類があってね。広く使われているのがベンゾジアゼピン系と、その仲間の非ベンゾジアゼピン系の薬なんだ。今日はこの薬の話だよ。自分の薬がどれかは、お薬手帳を持って薬局で聞くとわかるよ。」

📌 長く飲むときに気をつけたいこと
・決められた量の範囲でも、長く飲むうちに体が薬のある状態に慣れて(身体依存)、やめにくくなることがある
・高齢の方では、ふらつき・転倒・骨折や物忘れなどの副作用が出やすい

たろうくん
「えっ、骨折!?」

T先生
「研究をまとめた解析では、これらの薬を飲んでいる高齢者は、飲んでいない人に比べて太ももの付け根の骨折(大腿骨骨折)が約1.5〜1.9倍だった。特に飲み始めの時期に多かったけど、長く飲んでいる人も危険がなくなるわけではないんだ。

でもね、ここが大事なところなんだけど、眠れないこと自体も、夜中のトイレで転ぶ危険を高めることが分かっているんだ。だから『薬=悪者』と決めつけるのは早いんだよ。」

⚠️ 睡眠薬は自分の判断でやめてもいいの?

たろうくん
「じゃあ、おじいちゃんに今日からやめてって言うね!」

T先生
「ちょっと待って。それが一番やってほしくないことなんだ。」

⚠️ 長く飲んだ睡眠薬を急にやめると起こりうること
・眠れなさが一時的に悪化する
・不安感・イライラ、動悸、吐き気など(離脱症状)
・数日〜数週間続くこともある

T先生
「長く飲んでいる人や、量・種類が多い人ほど、こうした症状が出やすいとされているんだ。薬の安全対策を担う医薬品医療機器総合機構(PMDA)も、患者さんに『自己判断で中止したり、量を減らしたりしないで』と呼びかけているよ。」

🚨 もう急にやめてしまった・薬が切れてしまったときは
・その日のうちに(休診日なら次の診療日に)主治医に電話で相談する
・残っている薬を自分の判断で飲み直したり増やしたりせず、指示を待つ
・けいれんや強い混乱があれば、ためらわず119番

📉 睡眠薬の減らし方は?

たろうくん
「じゃあ、どうやって減らすの?」

T先生
「減らすかどうか、どう減らすかは主治医と一緒に決めるよ。眠れない症状が落ち着いているかを主治医が見て、減らし始める時期を決めるんだ。日本睡眠学会などのガイドラインには、こんな例が書いてあるんだ。」

📌 主治医と進める減らし方の例(ガイドラインより)
・減らすのは一度に1種類ずつ。どの薬から減らすかも主治医が決める
・4分の1錠減らして1〜2週間様子を見て、問題がなければ、また4分の1錠減らす
・長く飲んでいる人や、2錠以上・2種類以上飲んでいる人は、もっとゆっくり

T先生
「割りにくい錠剤もあるから、量の調整は主治医や薬剤師に任せてね。少しずつ減らしたときは、眠りの質が悪く感じても、多くは数日で戻る。眠れない日が続くときは、自分で量を戻したり増やしたり、お酒や市販の睡眠改善薬で補ったりせず、今の量のまま主治医に相談しよう。」

たろうくん
「薬のほかにできることはある?」

T先生
「あるよ。眠れない状態を長引かせる生活習慣や、眠りについての考え方を、カウンセリングで見直す認知行動療法という方法がある。合計4〜8回ほど行うもので、睡眠薬を長く飲んでいる人が薬を減らす助けにもなるとガイドラインに書かれているんだ。受けられる場所は主治医に聞いてみてね。」

🔬 新しいタイプの睡眠薬の研究はどうだった?

たろうくん
「新しい睡眠薬もあるって聞いたよ。」

T先生
「うん。2026年に、日本の健康保険のデータを使って調べた研究が発表されたんだ。」

📌 日本の保険データの研究(2026年)
・ベンゾジアゼピン系などの睡眠薬を続けて6か月以上飲んでいて、新しいタイプの睡眠薬(オレキシン受容体拮抗薬)を始め、それも6か月以上続けた605人
・新しい薬を使いながら、寝る前のそれまでの睡眠薬を半分以下にできた人は42.1%、やめられた人は21.3%

たろうくん
「えっ、それまでの薬を5人に1人はやめられたの!?」

T先生
「数字だけ見るとそうだね。でも、これは処方の記録を後からながめた研究で、くじ引きで薬を分けて比べた試験ではない。それに、新しい薬を6か月続けられた人だけを見ているから、途中でやめた人も入れると、実際の割合はもっと低いかもしれない。新しい薬を加えて、それまでの薬を減らしていくかどうかは、体の状態を見て主治医が決めることなんだ。」

🏥 睡眠薬をやめたいとき、まず何をすればいい?

たろうくん
「おじいちゃんは何をすればいい?」

T先生
「次の受診のときに、『この薬を続けるか、減らせるか相談したい』と、薬を出している先生に伝えることからだね。」

🏥 相談するときのポイント
1. お薬手帳を持っていく(ほかの病院から似た薬が出ていないかも確認できる)
2. 昼間の調子(眠気・だるさ・不安など)や、痛み・かゆみ・気分の落ち込みなど眠りをじゃまするものも伝える
3. 眠れない夜も自分で量を増やさない。お酒と一緒に飲まない

T先生
「ガイドラインには、睡眠薬は基本的に無期限に飲み続ける薬ではないと書いてある。ただ、人によっては注意しながら飲み続ける選択肢もあるんだ。大事なのは、定期的に『今の量が本当に必要かな?』と主治医と見直すことだね。それから、翌日に眠気が残る、ふらつくと感じたら、早めに主治医に相談してね。」

📝 まとめ!

✅ 何年も飲んでいる睡眠薬は、一度見直してみる価値がある
長く飲むとやめにくくなることがあり、高齢の方ではふらつきや転倒にも注意が必要です。

✅ 自分の判断で減らしたり、やめたりしない
急にやめると眠れなさや不安が強まることがあります。もうやめてしまったときは早めに主治医へ。

✅ 減らすときは主治医と一緒に、時間をかけて
ガイドラインの例は「4分の1錠減らして1〜2週間様子を見る」。長く飲んでいる人はもっとゆっくりです。

✅ 薬以外の方法もある
認知行動療法は減らす助けになります。新しいタイプの薬の研究もありますが、合うかどうかは主治医と相談しましょう。

✅ まずはお薬手帳を持って、薬を出している先生に相談
飲み続けるか減らすかは、昼間の調子も含めて一緒に決めましょう。


たろうくん
「おじいちゃんに『急にやめないで、次の受診で先生に一緒に聞いてみよう』って言うね!」 😊

T先生
「いいね。やめさせるんじゃなくて、一緒に相談するのが大事なんだ。」


📚 参考文献

厚生労働科学研究班・日本睡眠学会ワーキンググループ『睡眠薬の適正な使用と休薬のための診療ガイドライン』2013年6月初版・10月改訂(Q8・Q19・Q20・Q30・Q33〜Q35・Q38〜Q40)
医薬品医療機器総合機構(PMDA)『PMDAからの医薬品適正使用のお願い No.11 ベンゾジアゼピン受容体作動薬の依存性について』2017年3月(2024年5月更新)
三島和夫『睡眠薬の安全で安心な使用法について』日本睡眠学会ホームページ
Matsui K, Sugiura K, Shimura A, et al.『Dual orexin receptor antagonist-assisted dose reduction of benzodiazepines and benzodiazepine receptor agonists: a mirror-image analysis of insurance claims data』J Clin Sleep Med. 2026;22(1):163(PMID 42717137)
Donnelly K, Bracchi R, Hewitt J, et al.『Benzodiazepines, Z-drugs and the risk of hip fracture: A systematic review and meta-analysis』PLoS One. 2017;12(4):e0174730(PMID 28448593)

この記事の監修

辻 隆宏(つじ たかひろ)

つじファミリークリニック 院長・医師

  • 日本プライマリ・ケア連合学会認定 家庭医療専門医
  • 日本ペインクリニック学会認定 ペインクリニック専門医
  • 日本内科学会認定 認定内科医

自治医科大学医学部卒業。八女市矢部診療所、宗像市国民健康保険大島診療所の所長として、へき地・離島の地域医療に従事。2022年6月、大野城市につじファミリークリニックを開院。