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医療コラム

【保護者向け】TikTok・ショート動画が子どもの脳に与える影響と、今日からできる対策|つじファミリークリニック|大野城市東大利にある内科・ペインクリニック

【保護者向け】TikTok・ショート動画が子どもの脳に与える影響と、今日からできる対策

(文末の参考文献をもとに、一部AIを用いて作成しました/2026年10月22日に最新の情報へ更新しました)

✅ この記事のまとめ

ショート動画をよく見る人ほど、注意力や集中力が低い傾向があることが、71研究・約9万8千人を合わせた分析で報告されています。ただし、ショート動画が原因とまでは言えません。

小学生はTikTokの対象年齢(13歳以上)に届いていません。中学生以降は、各アプリの保護者向け設定と、家族で決めるルールを組み合わせるのが現実的です。

まずは1週間、お子さんの1日の視聴時間を一緒に確かめるところから始めてください。

こんにちは。つじファミリークリニック院長の辻です。

「うちの子、ずっとTikTokを見ている…」
3人の息子の親として、私にとっても気になるテーマです。

数秒から数分の短い動画が、次々と流れてくるショート動画アプリ。
このページでは、研究でわかってきたことと、ご家庭で今日からできる対策をまとめました。
各アプリの保護者向け機能はこの1年で大きく変わったため、2026年10月時点の情報に書き直しています。


🧠 ショート動画と子どもの注意力・心の健康:研究でわかっていること

ショート動画の研究はこの数年で一気に増えました。主なものを紹介します。

📌 注意力・集中力
71の研究、約9万8千人のデータを合わせた分析(2025年)では、ショート動画をよく使う人ほど注意力や「がまんする力(衝動を抑える力)」が低い傾向がみられました。子どもでも大人でも、どのアプリでも同じ傾向でした。
タイの6〜12歳の子どもの保護者528名への調査(2025年)では、視聴時間が長い子ほど不注意の傾向がみられ、その関係は年齢が低い子のほうがやや強めでした(差はわずかです)。

📌 学校の成績
中国の小学生1,052名の調査(2024年)では、ショート動画の使用が多い子ほど成績が低い傾向があり、その一部は注意力の低さと結びついていました。

📌 心の健康と睡眠
SNS全般についての182研究のまとめ(2024年)では、SNSの使用とうつ・不安の間に小さな関連があり、やめられない使い方は睡眠の問題とも関連していました。
米国公衆衛生長官の勧告(2023年)では、12〜15歳の子どもを追った研究で、1日3時間を超えてSNSを使う子は、うつや不安の症状が出るリスクが約2倍だったと紹介されています。

ただし、これらの多くはある時点の調査で「関連」を示したもので、ショート動画が原因だと確かめられたわけではありません。もともと集中が苦手な子がショート動画に引き寄せられている可能性もあります。

それでも、子どもの脳が育つ大切な時期のことです。様子見でよい、とは考えていません。


🔄 なぜ子どもはショート動画をやめられないのか

「終わり」がない仕組み

ショート動画アプリは、指でスワイプするだけで次の動画が自動で流れてきます。
「次はもっと面白いかもしれない」という期待が続き、区切りがないまま時間が過ぎていきます。

米国小児科学会は2026年1月に出した新しい方針の中で、時間の長さだけでなく、自動再生や終わりのないスクロールといった「やめにくい設計」そのものに注意を向けるよう呼びかけています。

子どもの脳はまだ発達の途中

衝動をコントロールする脳の部分(前頭前野)は、20代半ばまで発達が続くとされています。
ショート動画に限った研究ではありませんが、米国で12歳前後の子ども169名を3年間追跡した研究(2023年)では、InstagramなどのSNSを頻繁にチェックする子は、友だちからの反応を待つときの脳の反応が年々強まる傾向がみられました。これが良いことか悪いことかは、まだわかっていません。

子どもがやめられないのは、意志が弱いからではありません。大人でもやめにくいものを、まだ発達の途中にある脳で使っている、と考えるのが自然かなと思います。


😴 睡眠への影響と、子どもの睡眠時間の目安

📌 子どもの睡眠時間の目安
小学生 … 9〜12時間/中学・高校生 … 8〜10時間
厚生労働省のガイドでは、デジタル機器は寝室に持ち込まず、電源を切って別の部屋に置くようすすめています。
(厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」こども版)

寝る前のショート動画は、寝る時刻を少しずつ後ろにずらします。睡眠についてはこちらの記事でも詳しく書いています。
→ T先生!うちの子、休みの日に寝だめしてるけど、それでいいの?


👪 【年齢別】今日からできる対策

小学生:保護者がハンドルを握る

  • TikTokはまだ始めない(利用規約で13歳以上と決められています)
  • すでに使っている場合は、アプリに登録した生年月日が正しいか一緒に確認する(実際より上の年齢で登録されていると、子ども向けの保護機能が働きません)
  • YouTubeは子ども向けの「YouTube Kids」か、保護者が管理するアカウントで使う
  • 見る場所はリビング。寝室には持ち込まない
  • 1日の時間の目安を家族で決める(下の「専門機関の見解」も参考にしてください)

中学生:ルールを一緒に決める

一方的に禁止すると、隠れて使うきっかけになりがちです。理由を伝えて、ルールは一緒に決めるのがおすすめです。

  • TikTokのファミリーペアリングで、1日の上限と使えない時間帯を設定する
  • 寝る1時間前からは、スマホを別の部屋に置く
  • 「なぜ時間を決めるのか」を、このページの内容を使って話してみる
  • 週に1回、ルールがうまくいっているか家族で振り返る

高校生:自分で調整する力を育てる

見張ることより、話すこと。目標は「自分で調整できる力」を身につけることです。

  • 自分のスクリーンタイム(利用時間)を自分で確認してもらう
  • アプリの仕組みを伝える(→ 下の「子どもに伝えたい3つのこと」)
  • 信頼関係に合わせて、保護者の管理を少しずつ減らしていく

📱 TikTok・YouTube・Instagramの保護者向け設定(2026年10月時点)

各社とも、ここ1〜2年で保護者向けの機能を大きく増やしました。主なものをまとめます。

TikTok(ファミリーペアリング)

保護者のTikTokとお子さんのTikTokを連携させると、保護者の側から次のような設定ができます。

  • 1日の視聴時間の上限(平日と週末で分けて設定できます)
  • 「休憩タイム」:使えない曜日・時間帯(例:22時〜翌7時)
  • コメントやメッセージを送れる相手の制限
  • おすすめに出てほしくない言葉のフィルター

なお、18歳未満のアカウントには、初期設定で1日60分の上限がかかります(本人が解除できるため、ペアリングとの併用がおすすめです)。
→ TikTok 保護者ガイド(公式)

YouTube

  • 13歳未満:保護者が管理するアカウントを作れます。管理画面(ファミリーセンター)から、ショート動画の1日の視聴上限も設定できるようになりました。お子さんがそのアカウントでログインしているときに働く設定です
  • 13〜17歳:「ティーンの監督」で、保護者のアカウントとお子さんのアカウントを連携できます。使える管理機能は順次増えているので、ファミリーセンターでご確認ください
  • 小さなお子さんには、子ども向けアプリ「YouTube Kids」という選択肢もあります

→ YouTube ヘルプ:管理対象のお子様のアカウント(公式)

Instagram(ティーンアカウント)

  • 日本では2025年1月から、13〜17歳は自動的にティーンアカウントになります
  • 初期設定で非公開アカウント、メッセージはつながっている相手のみ、22時〜7時は通知が届かない「スリープモード」
  • 16歳未満がこの設定をゆるめるには、保護者の承認が必要です
  • 保護者もInstagramのアカウントを用意して「保護者による管理」で連携すると、1日の利用時間の制限や、やり取りしている相手(内容は見られません)の確認ができます

→ Meta:Instagramティーンアカウントの紹介(公式)

※ 機能は今後も追加・変更されます。設定するときは、各社の公式ページで最新の手順をご確認ください。


💬 子どもに伝えたい3つのこと

1. 「アプリは、あなたに長く見てほしい」

多くの動画アプリは、広告の収入で成り立っています。長く見てもらうほど収入が増える仕組みなので、自動で次の動画が流れるなど、やめにくい作りになっています。

2. 「見れば見るほど、似たものばかり出てくる」

アプリはあなたの好みを学習します。そのぶん、自分と違う考えや新しい情報に出会いにくくなります。

3. 「やめられないのは、あなたのせいではない」

見終わったあとにぐったりしたり、時間を損した気持ちになったりするのは、多くの人に起こることです。自分を責めるより、「やめやすくする仕組み」を一緒に作ろう、と伝えてあげてください。


🤝 禁止より効果的:子どもとの「対話」のコツ

📌 言い方を少し変えてみる
✖️ 「TikTok禁止!」 → ⭕ 「なんで長く見ちゃうのか、一緒に考えてみない?」
✖️ 「勉強しなさい」 → ⭕ 「宿題の前と後、どっちで見たい?」
✖️ 黙ってスマホを取り上げる → ⭕ 「約束の時間を過ぎたよ。自分で気づけた?」

米国小児科学会も、家族でメディアの使い方のルール(ファミリー・メディアプラン)を作ることをすすめています。
子ども自身が決めたルールのほうが、守ろうという気持ちになりやすいかなと思います。


🏛️ 専門機関の見解と、国内外の動き

🔹 米国小児科学会(2026年1月)
時間の長さだけでなく、自動再生や終わりのないスクロールなど「やめにくい設計」に注意。家族でメディアのルールを作り、事業者には子どもに安全な初期設定を求める。

🔹 米国公衆衛生長官(2023年)
SNSが子どもにとって十分に安全だとは、まだ結論できない。

🔹 日本小児科医会(2004年の提言)
テレビやゲームなど、すべてのメディアに接する時間は合わせて1日2時間までが目安。学校で1人1台の端末が配られる前の提言です。

🔹 愛知県豊明市(2025年10月)
余暇のスマホ利用を1日2時間以内の「目安」とする条例を施行(罰則はありません)。

🔹 オーストラリア(2025年12月10日〜)
SNS事業者に、16歳未満がアカウントを持てないようにする対策を義務づけ(子どもや保護者への罰則はありません)。


📝 まとめ:今日からできる3ステップ

✅ まずは現状を知る
お子さんの1日の視聴時間を、スマホのスクリーンタイム機能などで一緒に確かめてみてください。

✅ ルールは一緒に決める
一方的な禁止より、理由を伝えて話し合うほうが続きやすくなります。

✅ 仕組みで守る
各アプリの保護者向け設定を使い、寝る前と寝室ではスマホを使わない環境をつくります。


❓ よくあるご質問

Q1. 何歳からTikTokを使わせていいですか?

TikTokの利用規約では13歳以上です。13歳以上でも、ファミリーペアリングで上限や使えない時間帯を決め、少しずつ自分で調整できるように見守るのがおすすめです。

Q2. 1日何時間までなら大丈夫ですか?

「ここまでなら安全」という線は、研究でもまだはっきりしていません。日本小児科医会の「すべてのメディアを合わせて1日2時間まで」という目安は、学校の端末が配られる前の2004年のものです。学校の宿題や調べ学習は別にして、遊びで見る時間の目安として使うのが現実的かなと思います。

米国小児科学会も、時間の長さだけで考えないよう呼びかけています。「いつ見るか(寝る前ではないか)」「何を見るか」「睡眠や外遊びの時間が取れているか」もあわせて見てあげてください。

Q3. 子どもが反発して聞いてくれません。どうすればいいですか?

一方的に禁止すると、かえってこじれることがあります。「なぜ時間を決めたいのか」を伝え、ルールづくりにお子さん自身に参加してもらうのがおすすめです。

Q4. YouTubeショートだけを制限できますか?

以前は公式の方法がありませんでしたが、現在は保護者が管理するアカウントで、ファミリーセンターからショート動画の1日の視聴上限を設定できます。小さなお子さんには、子ども向けアプリ「YouTube Kids」という選択肢もあります。

Q5. 子どもが親に内緒で別のアカウントを作っていたら、どうすればいいですか?

アプリの設定だけで完全に管理することは難しいです。見つけたときは責める前に、「なぜ隠れて使いたかったのか」を聞いてみてください。信頼関係が、長い目で見ていちばんの対策になります。

Q6. ショート動画を完全に禁止すべきですか?

友だちとの話題についていけない不安から、隠れて使うきっかけになることもあります。小学生のうちは保護者がしっかり管理し、年齢に合わせて少しずつ任せていく形がよいかなと思います。

Q7. すでに依存しているかもしれません。どこに相談できますか?

朝起きられない、学校を休みがちになる、取り上げると激しく怒るなど、日常生活に支障が出ている場合は、ひとりで抱え込まずに相談してください。担任の先生やスクールカウンセラー、お住まいの自治体の教育相談窓口のほか、小児科や思春期外来、児童精神科も相談先になります。


📚 参考文献

・Nguyen L, et al. Feeds, feelings, and focus: A systematic review and meta-analysis examining the cognitive and mental health correlates of short-form video use. Psychological Bulletin. 2025;151(9):1125-1146.

・Chiencharoenthanakij R, et al. Short-Form Video Media Use Is Associated With Greater Inattentive Symptoms in Thai School-Age Children: Insights From a Cross-Sectional Survey. Brain and Behavior. 2025;15(7):e70656.

・Gong Q, Tao T. The relationship between short video usage and academic achievement among elementary school students: The mediating effect of attention and the moderating effect of parental short video usage. PLoS One. 2024;19(11):e0309899.

・Ahmed O, et al. Social media use, mental health and sleep: A systematic review with meta-analyses. Journal of Affective Disorders. 2024;367:701-712.

・Maza MT, et al. Association of Habitual Checking Behaviors on Social Media With Longitudinal Functional Brain Development. JAMA Pediatrics. 2023;177(2):160-167.

・U.S. Surgeon General. Social Media and Youth Mental Health: The U.S. Surgeon General’s Advisory. 2023.

・American Academy of Pediatrics. American Academy of Pediatrics Calls for Creating a Child-Friendly Digital World(政策声明「Digital Ecosystems, Children, and Adolescents」Pediatrics 2026年2月号の発表) 2026年1月.

・厚生労働省『健康づくりのための睡眠ガイド2023』2024年2月.

・日本小児科医会「子どもとメディア」対策委員会 提言. 2004年.

・NIMH. The Teen Brain: 7 Things to Know.

・eSafety Commissioner(オーストラリア). Social media age restrictions.

 

※分かりやすいマンガ版はこちら → T先生!ショート動画って脳に悪いの?

この記事の監修

辻 隆宏(つじ たかひろ)

つじファミリークリニック 院長・医師

  • 日本プライマリ・ケア連合学会認定 家庭医療専門医
  • 日本ペインクリニック学会認定 ペインクリニック専門医
  • 日本内科学会認定 認定内科医

自治医科大学医学部卒業。八女市矢部診療所、宗像市国民健康保険大島診療所の所長として、へき地・離島の地域医療に従事。2022年6月、大野城市につじファミリークリニックを開院。