T先生!脳梗塞って夏に増えるって本当?
📢 T先生!脳梗塞って夏に増えるって本当? 🏥
(下記の論文・公的資料を元に一部AIを用いて作成しました)
出典: Ogata T, et al. J Neurol Sci. 2004;225(1-2):85-89. PMID 15465090 / Takizawa S, et al. J Stroke Cerebrovasc Dis. 2013;22(1):36-41. PMID 21775162 / Wu FF, et al. BMC Cardiovasc Disord. 2017;17:154. PMC5470225 / 総務省消防庁 熱中症情報 / 環境省「健康のため水を飲もう」推進運動 / 日本脳卒中協会
✅ この記事のまとめ
夏に増えるのは、脳の細い血管が詰まる「ラクナ梗塞」というタイプです。
汗で体の水分が減り、血液が濃くなることが引き金と考えられています。
のどが渇く前に飲むこと、そして「顔・腕・言葉」の異変はすぐ119番です。
たろうくん
「T先生!ニュースで熱中症が1週間で1万人以上運ばれたって言ってた。それでおばあちゃんが『夏は脳梗塞にも気をつけないかん』って言うんだけど…脳梗塞って寒い冬の病気じゃないの?」
T先生
「おばあちゃん、よく知ってるね。まずそのニュースの数字を見てみようか。」
📌 熱中症の救急搬送(消防庁・令和8年7月13〜19日 速報値)
・全国で10,857人(前年同じ週の確定値4,958人の2倍以上)
・65歳以上が6,734人=全体の62.0%
・発生場所は「住居」が4,523人=41.7%で最多
・福岡県は496人で全国6番目の多さ
・初診時に死亡が確認された人が14人
たろうくん
「家の中が一番多いんだ…!」
T先生
「そうなんだ。そしてね、ここがとても大事なところなんだけど——夏に体から水分が失われることは、脳梗塞とも関係しているんだよ。」
🧠 夏に増えるのは「細い血管が詰まるタイプ」
T先生
「日本で12,660人の脳梗塞を調べた研究があってね、季節ごとに分けるとこうなったんだ。」
📊 脳梗塞の発症割合(日本・12,660例/Ogata 2004)
・夏 26.0% > 秋 25.8% > 冬 25.3% > 春 22.9%(P<0.001)
・特にラクナ梗塞(脳の細い血管が詰まるタイプ)は夏41.2% vs 他の季節39.4%(P<0.01)
たろうくん
「えっ、ちゃんと夏が一番多いんだ!」
T先生
「ただしね、『脳梗塞は全部夏に増える』と言うと不正確なんだ。日本の163施設・35,631人を調べた別の研究では、ラクナ梗塞は夏に多いとはっきり出た一方で、心臓にできた血のかたまりが脳に飛ぶタイプ(心原性脳塞栓症)と、脳出血は、むしろ冬に多かったんだよ。」
たろうくん
「タイプによって季節が違うんだね。」
T先生
「その通り!だから正しくは『夏は細い血管が詰まるタイプに気をつける季節』。冬は冬で別のタイプに注意が必要なんだ。」
💧 なぜ夏に?——血液が”濃く”なるから
T先生
「汗をたくさんかいて体の水分が減ると、血液が濃くなって流れにくくなる。細い血管ほど影響を受けやすいんだ。」
たろうくん
「脱水って、そんなに悪いの?」
T先生
「実際にね、脳梗塞を起こして治療を受けた346人を調べた研究があるんだ。」
🔹 脱水があると経過が悪くなる(Wu 2017・346例)
・脱水があった人で経過が良好だったのは26.37%
・脱水がなかった人では39.02%(p=0.012)
・他の条件をそろえて計算するとオッズ比0.46(95%信頼区間 0.27〜0.79)
T先生
「つまり脱水があると、良い回復にたどりつく見込みがおよそ半分まで下がっていた。しかもさっきの日本の研究では、夜中から明け方(0時〜8時)の発症も夏に多かった(26.5% vs 24.8%)。」
たろうくん
「寝てる間って水を飲めないもんね…!」
T先生
「まさにそこ。眠っている間もずっと汗をかいているからね。」
👴 高齢者がいちばん危ない理由
T先生
「環境省の資料には、こう書かれているよ。」
🔹 環境省の資料より(原文)
「高齢者はもともと若年者より血液を含む体内の水分量が少なくなっています」
「加えて加齢によりのどの渇きを感じにくく、飲水行動につながりにくいです」
「高齢者は脱水が進んでも、のどの渇きが起こりにくくなっています」
T先生
「本人は『のどが渇いていないから大丈夫』と思っている。でも体の中では脱水が進んでいる——これが一番こわいパターンなんだ。」
🚑 これだけは覚えて「ACT FAST」
T先生
「もし起きてしまったときのために、日本脳卒中協会が呼びかけているサインを覚えておこう。」
🥇 ACT FAST(日本脳卒中協会)
・顔(Face) 片側が下がって動かない
・腕(Arm) 片側の腕に力が入らない
・言葉(Speech) 呂律が回らない・言葉がでない・他人の言うことが理解できない
・すぐに(Time) 救急車を呼んでください
T先生
「1つでも当てはまったら、様子を見ないで119番。『しばらく休めば治るかも』——その判断が一番危ないんだ。」
💡 今日からの水の飲み方
🔹 環境省「健康のため水を飲もう」推進運動より
・「のどの渇きは脱水が始まっている証拠」
・「平均的には、コップの水をあと2杯飲めば、一日に必要な水の量を概ね確保できます」
・飲むタイミングは「就寝の前後、スポーツの前後・途中、入浴の前後、飲酒中あるいはその後」
T先生
「特に寝る前と起きたあとの1杯。夜間の脱水を防ぐ意味で理にかなっているよ。ただし——ここは必ず伝えたいんだけど。」
⚠️ 同ページの注意書き(原文)
「腎臓、心臓等の疾患の治療中で、医師に水分の摂取について指示されている場合は、この指示に従う必要があります」
T先生
「心不全や腎臓病で水分制限を受けている人は、自己判断で増やしてはいけない。『夏だからたくさん飲む』が逆効果になる人もいるんだ。血圧の薬や利尿薬を飲んでいる人も、夏の飲み方は主治医と相談してね。」
たろうくん
「のどが渇く前にコップ2杯、でも制限がある人はお医者さんに相談、だね!」
📝 まとめ!
✅ 夏に増えるのは「ラクナ梗塞」——日本の12,660例で夏26.0%と最多、細い血管が詰まるタイプが夏に有意に増えます
✅ 「脳梗塞は全部夏」ではありません。心原性脳塞栓症と脳出血はむしろ冬に多く、季節でタイプが変わります
✅ 脱水があると回復も悪い。脱水ありでは良好な経過が26.4%、なしでは39.0%(オッズ比0.46)というデータがあります
✅ 高齢者は「のどが渇かないまま」脱水が進む。体内の水分量が少なく、渇きも感じにくいと環境省が明記しています
✅ 顔・腕・言葉の異変は迷わず119番。夜間・早朝の発症も夏に多いため、寝る前と起床時の1杯を習慣に
たろうくん
「なるほど!よくわかったよ、ありがとうT先生!」😊
T先生
「当院では血圧や生活習慣病の相談も受け付けているよ。夏の水分のとり方やお薬のことで迷ったら、いつでも聞いてね!」
📚 参考文献
Ogata T, Kimura K, Minematsu K, Kazui S, Yamaguchi T; Japan Multicenter Stroke Investigators’ Collaboration. Variation in ischemic stroke frequency in Japan by season and by other variables. J Neurol Sci. 2004;225(1-2):85-89. doi:10.1016/j.jns.2004.07.002
Takizawa S, et al. Seasonal variation of stroke incidence in Japan for 35631 stroke patients in the Japanese Standard Stroke Registry, 1998-2007. J Stroke Cerebrovasc Dis. 2013;22(1):36-41. doi:10.1016/j.jstrokecerebrovasdis.2011.06.005
Wu FF, et al. The influence of dehydration on the prognosis of acute ischemic stroke for patients treated with tissue plasminogen activator. BMC Cardiovasc Disord. 2017;17:154. doi:10.1186/s12872-017-0590-6
